深夜の救出劇
夜中0時過ぎ、自宅の電話が鳴り響いた。
仕事場の電話ならよくある事だが、こんな時間に自宅へ連絡が来るのは極めて稀なので、嫌な予感がする。
友人のSだった。
今から新宿まで迎えに来れないかと。
新宿?深夜0時?何の冗談だ?
しかも貴様、酔っぱらってないか?
話を聞くと、忘年会で浮かれてる間に財布とカバンをごっそり落としたらしい。
心当たりはあらかた探したがどこにも無く、途方に暮れていると。
「一緒にいる人に金借りればいいじゃん」
「先輩だからさー…カッコ悪いとこ見せらんないんだ…」
意味不明。
「他にもっと近くに友達いるだろ」
「m_i_しかいないんだよぉ…」
そんなはずはない。
「ほら、彼女に電話してみれば」
「怒られるから…」
怒られればいい。
「警察行って金借りろ。」
「m_i_しかいないんだよぉ…」
何だかもう彼の中では決定事項らしい。
こんな時間に家を空けるのは非常に気が引けるが、凍死されても困るので行く事にする。
お人よしと呼んでくれ。
寝ている妻を揺り起こし、一声掛けていく。妻、呆れ笑い。
深夜の一般道を平均時速80Kmで走る。
はっきりいって都心は苦手だ。車で新宿なんて考えただけで眩暈がする。
案の定、深夜で道路が空いているにもかかわらず、見た事も無い訳の分からん車線表記に戸惑う。
新宿に到着。
周りはタクシーばかりで、東口のドンキホーテ前に停車させようとすると思いっきり強引に割り込まれたり。テメーが悪いくせにブーブー鳴らしやがって。
怖い。もう絶対こないぞ。
酔っ払いのS、乗車。笑顔。ふざけんな。
「で、お前ん家まで送ればいいわけ?」
「…いや、それが実は財布の中に家の鍵入っててさぁ」
泊めろということか?正気か?正気じゃないか。
もう面倒なので我が家まで連れてくる。
途中、カーナビの案内にいちいち文句をつけてきたり、このサイトの批評をしだしたりと非常に不愉快だったが酔っ払いなので聞き流す。
酔いざましに飲み物を与え、布団を敷き、風邪引かないように自分の服も貸し、電気を消してあげる。
俺はお前の何だ。妻か。
徹夜で仕事をしようと思ったが、思いのほか深夜ドライブが脳にこたえ、強力な睡魔に負けてしまった。
朝、しっかりと朝食を食べ、子供たちと戯れ、鍵屋で合い鍵を作るための金を俺に借り、帰っていった。
程なくして、Sから電話。
前日に探したはずのカラオケボックスで、財布とカバンどちらも無傷で見つかったと。
………。
長男は「シブちゃんは〜?シブちゃんともっと遊びたかった〜」と不満げ。
納得いかない。
「これ、ホームページに書かれちゃうの?参ったなぁ。」
と期待しているようなので書いてみた。
見てるか?
とにかく一刻も早く金返せ。
ダメ公務員。