レンジャー!!

子供は総じてヒーローものが大好きだ。

ボウケンジャー!!

変身せずに冒険をしろ、卑怯者。

マージマジ、マジーロ!!

…まず並んで座れ、おまえら。 何を言いだすのだ朝っぱらから。

スペシャルポリス、デカレンジャー!!

ポリスレンジャーでいいじゃないか。自分でデカって言うな。

爆裂戦隊!アバレンジャー!!

迷惑だ。おとなしくしろ。

いずれも内容はよく分からないが、とりあえず目の前で自己紹介されたら怒鳴りつけているところだ。

しかしながら子供たちはそんなものでも夢中だ。

いつの時代も、今の時代も。

そして暗黙のルール、受け入れられやすい黄金律というものが作られていった。

3人、または5人前後のグループであるべし。

赤いやつが中心で、熱血直情タイプ、などなど。

ある日、長男(当時4歳)が突然ヒーロー戦隊ものっぽいポーズを取りながら叫び出した。

「ライオンレンジャー!!」

そんな捕食者的なレンジャーはいない!!

と咄嗟に怒り狂おうと思ったが、いや、もしかすると世間ではそんなものが流行っているのかもしれない…

色とりどりなライオン丸みたいなやつが。

まずは子供の話に耳を傾けてみるのが親としての務め…それが信頼というものを築いていく。

誰に教えてもらったのー?と優しく訊いてみる。

「やっくん」

やっくん(仮名)は、長男が通う保育園でもボス的な存在。

傍若無人なガキ大将、というわけじゃなく、同い年なのに兄貴的な存在。

親御さんの教育が素晴らしく、ヒーローものはもとより、テレビを一切見せないという徹底ぶりだ。

すなわち、そのライオンレンジャーなる部隊は、その子の完全なる想像の産物である。

他の子供たちが、デカレンジャー!マジレンジャー!!などと不可解なポーズを決める様を見て、独自に創り出したレンジャーらしい。

そんなレンジャーはいない!!と毅然とした態度で大人げなく真実を教えてやったが、いるよ!いるんだよ!と食い下がる長男。

よし、じゃあどのくらいディティールが完成されているか、チェックしてやろうじゃないか。

「そのライオンレンジャーとやらは何人いるの?」

しばし考える長男。考えるなよ。

…7人」

!!

お…多いなぁ……。全部ライオンなんだ、と訊くと、全部ライオンだ、と答える長男。

「色は?何色がいるの?」

ムラサキとー、オレンジとー」

!!!

いきなりレアな配色からだな…というかその場の思いつきで言うな。

まぁいい…そんなにムキになって否定するものではない。

想像力を働かせ、脳内の宇宙を広げていくことは、今後の人生で大いに力となる。

やっくんの創り出したレンジャーはもう一つ存在する。

ジャ

「……うん、今度は何人いるのかな?」

えーと……1人!!」

さっきのライオンレンジャーと人数を交換しなさい。せっかく虹レンジャーなのに。

それじゃレインボーマンじゃないか。

レインボーマン。名前だけは知っているが、年代的に一度も見た事は無い。

昔のヒーローはどれほど夢や希望や勇気を子供たちに与えていたのだろう。

ふと思い立ち、レインボーマンをWebで検索してみる。

愛の戦士 レインボーマン〜日本を守る日本だけのヒーロー

新興宗教、ハイパーインフレ、大臣に陳情して解決って……すげーなぁ……

♫死ね 死ね 死ね死ね死ね死ね死んじまえ 黄色いブタめをやっつけろ

…子供にテレビは見せたくない、という気持ちがちょっとわかった。

“愛の戦士レインボーマン M作戦編

 

 

[初稿・2005.07.12/改稿・2006.08.11]

……という記事をかなり前に書いたんだけど、その後作詞家の川内康範氏が例の件でクローズアップされてビックリした。(主に耳毛に。)

Author: 一條 マサヒデ