エロの循環

妻のパート先にいる若い男性アルバイトが、漫画家夫婦のご子息らしい…との情報。

妻によると、母親が「高見まこ」先生、父親が「わたなべ…」なんとか先生…よくわかんない…とのこと。
そんな環境からか、ご子息も漫画好きらしい。

テキトウな同志

唐突に更新連発してますが、『column』というカテゴリに入ってるやつは、まんがくらぶオリジナルで一時期連載してたテキトウ文章です(若干省いてます)。

もったいないからWebに転載していいっすか?と当時の担当編集さんに聞いたら、どうぞどうぞジャンジャン載せて下さいとの事だったのでジャンジャン載せてみました。

気楽に好き勝手に書けたのでとても楽しかったのですが、読者ページの一部に小さい字でギッシリ書いていたので誰も読んでいなかった事でしょう。自分も載ったやつは殆ど読んでませんでした。ダメじゃん。

当時の担当編集さんは部署が移動になって、今ではすくパラの編集長としてホノボノ雑誌やホノボノblogなどを仕切っているようですが、私は彼とエロい話しかした覚えがなく、何が子育てだよ…と若干思ったりもしますが、またいずれご一緒にお仕事をするのだろうなと思っております。

そんな事よりこっちの仕事はどうなってんだ愚図と思念波が多数飛んできた気がするのでこの辺で。

誰かの役に立つかもしれない

そういえば、このコラムの依頼を受けた時、「字数は600字前後で」という話しだった。

しかもイラスト付きで、という話しだった。

いつもいつも軽く1400字は越えている。イラストを載せるスペースも無い。何の役にも立たない戯れ言のくせに、〆切りすら守らない。

たまには簡潔でイラスト満載で誰かの役に立つ情報を発信したいものだ。(※〆切りは現時点ですでに大幅に破っているので無視する)

というわけで、以下の絵を見て欲しい。

1mm弱

世の中には「知らなきゃよかった…」という事が数多く存在すると思う。

田舎から、よく米が送られてくる。

精米前の玄米の状態で、米袋ギッチリ。その量30kg。

そう簡単に食べられる量ではなく、近所の自動精米所で半分ずつ白米にしては何ヶ月か掛けてチマチマチマチマ食べている。

半分といっても15kgだ。

店頭で見かける大きめの米パッケージは10kg。それよりも多いわけだ。

米びつをギッチギチに満配にしてもまだ余る。減ってはつぎ足し減ってはつぎ足しで、米びつが空になる事は殆ど無かった。

お米の心配をする日がない…なんと幸せな事か。

田舎の両親と、実際に米を作っている叔父ちゃん叔母ちゃんに感謝をしつつ、その日食べる分の米を米びつから二合半取り出す。

なにやら黒いお米がポツポツと動いている気がした。

気がした、じゃない。動いてる。

「ぬああああああああ!!」

183cm81kgの男は悲鳴を上げた。若干ピンク色の声だ。

乙女のような腰つきになった大男は、恐る恐る米を見てみる。

1mm弱の虫が、比較的速くサササササと動いている。

「なに考えてんだよ!!!!!」

吐き捨てるように一人で叫びながら、猛烈に後ずさりする男。

突っ込み方が明らかに間違っているが、そんなことはどうでもいい。なにしろ、超内股だ。なりふりも言葉の整合性も構っていられない。

1mm未満に負ける1830mmの男。なんて小さな男なのだろうか。

いや、でも待って欲しい。1mmが一匹だけならそんなに驚く事ではないが、何万匹のアリに襲われたら人間はほんの数秒で骨だけになると言う。

1mmを侮ってはいけない。1mmを笑う者は1mmに泣く。

そんな1mmが、約3cm四方に1匹の割合でワラワラと動いているのだ。

ということは、この十数kgの白米が入った米びつの中には一体いくつの黒いお客さんが…………。

米びつ上部のフタを取り、半透明のゴミ袋を被せ、逆さまに。

一気に米の重みで突っ張りきるゴミ袋。

間髪を入れずに袋を固結び。その動きたるや、熟練の職人のようだ。なんの職人だか知らんが。

それにしても何故半透明なのか。思わず中を覗き込みたくなってしまうではないか。行政はこういう事態を想定しないのか。

ついつい覗いてみる。彼らは楽しそうに白い野山を走ったり潜ったり出てきたり大忙しだ。

いい加減にしろって

相変わらず、ツッコミがよく分からない。

とにかく、敵の正体を明らかにせねばならない。ウヤムヤでは今後の生活に支障を来す。なにしろ、食の基本、生命維持の根幹を担う物資の問題だ。そして米袋にはまだ精米前の玄米が15kg、同じく精米前の未開封の米袋30kgがもう一つ、玄関付近に無造作に置いてあったりする。

不測の事態を備え逃走経路を確保、超及び腰で慎重に慎重に開封をし確認したが、動くものはいなかった。

玄米の状態だと、比較的虫は発生しにくいようだ。

webにて『米・虫』等の語句で検索してみる。

米につく虫は、代表的なものでなんと6~7種類存在する。

胚芽部分や”ヌカ”を好物とするものや、米と米の間に卵を付着させるもの、米粒の中に卵を産み付けるものなど、様々…

って内部に産み付けるのかよ…!!(泣)

殆どの場合、稲の時点で卵が産み付けられ、しかも体から出す粘着状の物質により産卵の痕跡をふさぐので見つけるのは至難の業、とのこと。

お米以外の栄養素がこれまで何百匹〜何千匹分、自分の肉体に吸収されたのだろうなぁと、目の前が真っ暗になる。

もう少し調べてみる。

虫の種類によっては、成虫になると”蛾”となり、蓋を開けるとバサササーッと無数に飛び交う、とのこと。

…調べなければよかった…。

対応策としては、精米した後は、冷暗所や冷蔵庫で保管する、鷹の爪を2〜3本、お米の袋の中に入れておくと良い、などが挙げられるが、前者は「卵を孵化させない為」という極めて消極的な対処方法だ。後者は残念ながら既に実行済みだった。

虫の卵を食え。

世間ではそういう結論となる。

そして、洗えば大丈夫・米を炊く際に高温殺菌されるので問題ない・ぶっちゃけ虫が付くのは良い食べ物の証拠で、穀物を食べている虫なので体内に入っても問題ない、との詭弁が始まる訳だ。

なんだ?じゃあ虫が群がるウ●コは良い食べ物なのか!?テキトウな事を言うな!!

webにて『ウ●コ・食べる』等の語句で検索してみる。

‥‥世の中には「知らなきゃよかった…」という事が数多く存在すると思う。

カルチャーショック療法により、冷蔵保存をした虫の卵を喜んで食せるようになった今日この頃です。

[初稿・2006.09.11]

レンジャー!!

子供は総じてヒーローものが大好きだ。

ボウケンジャー!!

変身せずに冒険をしろ、卑怯者。

マージマジ、マジーロ!!

…まず並んで座れ、おまえら。 何を言いだすのだ朝っぱらから。

スペシャルポリス、デカレンジャー!!

ポリスレンジャーでいいじゃないか。自分でデカって言うな。

爆裂戦隊!アバレンジャー!!

迷惑だ。おとなしくしろ。

いずれも内容はよく分からないが、とりあえず目の前で自己紹介されたら怒鳴りつけているところだ。

しかしながら子供たちはそんなものでも夢中だ。

いつの時代も、今の時代も。

そして暗黙のルール、受け入れられやすい黄金律というものが作られていった。

3人、または5人前後のグループであるべし。

赤いやつが中心で、熱血直情タイプ、などなど。

ある日、長男(当時4歳)が突然ヒーロー戦隊ものっぽいポーズを取りながら叫び出した。

「ライオンレンジャー!!」

そんな捕食者的なレンジャーはいない!!

と咄嗟に怒り狂おうと思ったが、いや、もしかすると世間ではそんなものが流行っているのかもしれない…

色とりどりなライオン丸みたいなやつが。

まずは子供の話に耳を傾けてみるのが親としての務め…それが信頼というものを築いていく。

誰に教えてもらったのー?と優しく訊いてみる。

「やっくん」

やっくん(仮名)は、長男が通う保育園でもボス的な存在。

傍若無人なガキ大将、というわけじゃなく、同い年なのに兄貴的な存在。

親御さんの教育が素晴らしく、ヒーローものはもとより、テレビを一切見せないという徹底ぶりだ。

すなわち、そのライオンレンジャーなる部隊は、その子の完全なる想像の産物である。

他の子供たちが、デカレンジャー!マジレンジャー!!などと不可解なポーズを決める様を見て、独自に創り出したレンジャーらしい。

そんなレンジャーはいない!!と毅然とした態度で大人げなく真実を教えてやったが、いるよ!いるんだよ!と食い下がる長男。

よし、じゃあどのくらいディティールが完成されているか、チェックしてやろうじゃないか。

「そのライオンレンジャーとやらは何人いるの?」

しばし考える長男。考えるなよ。

…7人」

!!

お…多いなぁ……。全部ライオンなんだ、と訊くと、全部ライオンだ、と答える長男。

「色は?何色がいるの?」

ムラサキとー、オレンジとー」

!!!

いきなりレアな配色からだな…というかその場の思いつきで言うな。

まぁいい…そんなにムキになって否定するものではない。

想像力を働かせ、脳内の宇宙を広げていくことは、今後の人生で大いに力となる。

やっくんの創り出したレンジャーはもう一つ存在する。

ジャ

「……うん、今度は何人いるのかな?」

えーと……1人!!」

さっきのライオンレンジャーと人数を交換しなさい。せっかく虹レンジャーなのに。

それじゃレインボーマンじゃないか。

レインボーマン。名前だけは知っているが、年代的に一度も見た事は無い。

昔のヒーローはどれほど夢や希望や勇気を子供たちに与えていたのだろう。

ふと思い立ち、レインボーマンをWebで検索してみる。

愛の戦士 レインボーマン〜日本を守る日本だけのヒーロー

新興宗教、ハイパーインフレ、大臣に陳情して解決って……すげーなぁ……

♫死ね 死ね 死ね死ね死ね死ね死んじまえ 黄色いブタめをやっつけろ

…子供にテレビは見せたくない、という気持ちがちょっとわかった。

“愛の戦士レインボーマン M作戦編

 

 

[初稿・2005.07.12/改稿・2006.08.11]

小学生の夢

そういえば、この連載は先月で1周年だった。

一体誰が読んでいるというのだ。担当編集者からも感想を言われなくなって久しい。よし、誰も見ていないだろうから今回は少女との交わりを赤裸々に書いてやろう。

妻は普通の仕事をしている。

何をもって普通の仕事というのかよく分からないが、少なくとも真夜中の2時に半裸でスクワットをしながら残虐ネタを考えたりする職業ではない。誰だそれは。僕だ。たまに好き好んで変態になりたい時って、あるよね。

それはともかく。妻が仕事帰りに、同じフロアで働く若奥さんとお茶をしてきた。

若奥さんといっても30代半ばで、小学6年生の一人娘がいるという事らしい。

そしてその娘さんの将来の夢は『漫画家』…。

いわゆる、りぼん系の漫画が好きで、りぼん作家に憧れているらしい。

以前何となくそんな話を聞いてイヤな予感がしていたのだが、妻が帰宅すると

「ちょっと見てもらいたい物が…」

と申し訳なさ気に手提げ袋を渡される。

中には、大量のイラストや漫画。

いかにも少女漫画らしい乙女チックなイラストから、可愛らしい動物系キャラクターを擁した4コマ漫画や。

「プロの漫画家に感想を言ってもらいたいんだって

 

だからなんであなたは俺の職業を中途半端にベラベラ喋るのか。

一応少女漫画誌で連載をしているが、漫画家じゃないし。

青年誌で4コマ漫画を作っているが、血液とか色んな汁が飛び交っているし。

しかし、受け取ってしまった物は仕方がない。

とりあえず義務として全てに目を通してみる。

…頑張って描いてるなぁ…テクニックなんて小学生に求めても仕方がないので、単純に熱意だけで考えると、非常に好感が持てる。

なんでも、小学校の「漫画クラブ」に所属していて、そこで活動する中で描き溜めた自信作を集めました、とのこと。

何度もいうが、量が半端じゃない。

これまでの人生(12年)の全てをぶつけてきた、という趣である。

これが私の全てです!私の自信です!!と。

うーむ…ヘタな事を言ったら何らかの事件に発展するのでは。

親御さん、とりわけお父さんは、娘さんの漫画家志望に断固反対らしく、むしろケチョンケチョンに貶して欲しいという意図があるらしかった。プロに駄目出しされれば諦めてくれるだろう、と。

それほどまでに娘さんの意思は固く、その夢で頭がいっぱいで困っている、という事情だった。

一人娘がそんな状態では心配だろうなぁ、そりゃ…。

しかしながら、なんで赤の他人の俺がわざわざいたいけな少女に恨まれる役をやらにゃならんのだ。迷惑だ!!

でも受け取ってしまった物は仕方がない…

色んな汁を撒き散らす作家として、誠実に考えてみる。

本気で漫画家になりたいのなら、漫画以外の事をたくさん頑張らないとダメだよ。

学校の勉強も、友達との遊びもたくさんして、小説も映画もたくさん観て。

その一つ一つの経験や、身をもって覚えた知識、自分の頭で思い浮かべた自分だけの世界が、自分にしか描けない漫画を生み出すんだよ。

ついでに親御さんにも。

目標をもって生きる事は、その対象が何であれ素晴らしい事です。

何かを成し遂げる為に懸命になる、その姿勢は自分で人生を切り開く力になります。

有無を言わさず留めれば、後悔と遺恨を残すでしょう。

但し、漫画家になるには漫画以外の知識や経験が人一倍必要で、それも含め、広い視野でアドバイスをして、応援してあげて下さい。

たくさんの経験を経た上で、別な道に進む事があればそれはそれでいいし、結果的に漫画家になりたいと決心したのなら、その想いは本物でしょうから応援してあげて欲しいです、と。

社会の底辺を這いつくばる無駄な汁しか生み出す事が出来ない臭い生き物が偉そうに何を言っているんだか…とその場で包丁を手に取り切腹したくなったが、その位しか言えないのだから仕方がない。

後日、その子から可愛い便箋にてお礼の手紙が来た。

プロの漫画家さんにアドバイスを貰えてとても嬉しかった、と。

もっともっと頑張ります、と。小学生らしい拙い字で、一生懸命書いていた。

お礼の描き下ろしイラストもたくさん添えて。

いい子だなぁ…。

どうか色々気付いて普通の職業に就きますように…。

少なくとも、誰も見ていないからと他人との出来事をこっそりネタにするようなイヤラシイ仕事じゃない仕事に就きますように。

その時丁度作業をしていた色んな液体が飛び散る4コマは、ちょっとだけ液量を減らしてみた。なんとなく。

[初稿・2006.06.05]

命名なんて大嫌い

このコラムのタイトルは、「ぼくが知りたいQ&A」というタイトルだ。

しかしながら、実際にそのタイトルに添った内容はこれまでの12回の連載の内、3回程しかなかった気がする。”気がする”とか言ってる時点で如何にタイトルを忘れてぼんやり書きなぐっているかが伺い知れるだろうと思う。

何を隠そう(隠しちゃいないが)、名前を付けるのが苦手だ。

このコラムの右下にある作品タイトルやペンネームを見て頂ければ一目瞭然だと思う。なんだこれは。ふざけているのか。と思われるかもしれない。散々悩んだ結果であり、他人に丸投げして提示されたものをチョイスした結果であり、天啓を受け瞬時にひらめいた賜物であり、つまりは命名の才能も選択するセンスも無し、私に憑いている命名の神はなんか寝そべって畳の目の数でも数えながらテキトウに啓示を呟いているようである。

いっつも何かしらの名前を付ける時には悩んでしまう。

例えば、何らかのキャラクターの名前などを決める時は、大抵誰かに丸投げしてしまう。

基本的に、人名に対するこだわりは皆無と言ってもいい。

寄生獣のミギーとは絶対話が合うはずだ。

どうしても自分で名付けねばならない時は電話帳などを使う。

バラバラーっとめくって、指を差し込み、そのページから再び目を瞑って指を差して名前を選んだり。

無難な名前くらいテキトウに付けりゃいいのだけど、「ユミ」がいいか「ユカ」がいいか…「由佳」か「由香」か…そんなことで1時間ほど余裕で考え込んでしまう燃費の悪い脳を搭載しているので、有る程度の決め打ち材料が必要だ。

キャラクターならまだいい。自分の子供を名付ける際は壮絶を極めた。 何ヶ月考えたかしれない。

何しろ、その名を一生背負って生きていかねばならない。昨今の親御さんは思い入れが強過ぎてどこの国の人間か分からぬ名前を好んで付ける傾向にあるが、何故こんなふざけた名前を付けたのか…とマウントポジションからバタフライナイフを胸元に突きつけられたりする状況は是が非でも避けたいところ。無難な名前を付けたところで、もうちょっとちゃんと考えろよとアイスピックを首の後ろから突きつけられるのは目に見えている。適度なオリジナリティが要求されるのだ。

字画なんてどうでもいいといえばどうでもいいのだけど、調べた結果漏れなく「大凶」だったらさすがに生まれて来た意味などを必要以上に考えてしまうと思われるので、その点も充分過ぎるほど考慮した。なんかもう、あまりに考え過ぎて途中で吐きそうになったりもした。でも子供の為だ…俺は死んでも名付けてみせる…!!と仕事そっちのけで考えたものだ。

仕事をしろと思う。

現在連載中の、定時制高校を舞台にした漫画のタイトルを付ける時も大変だった。ほぼ丸一日考えても全く糸口すら見つからない。タイトルは考えれば考えるほど硬直していく。みるみる寒くなっていく。

いい加減うんざりしたので、何かアイデア無いですか、と当時の担当編集者(30代後半・♂)に振ってみる。

他の仕事も押しに押しているので、もう丸投げでもいいや…と諦め半分で。

しばらくして、FAXが流れてくる。

——————————–

『一條様 私もいくつか考えてみました。

 

G.N.Baby〔グッド・ナイト・ベイビー〕

N.N.Night〔ナイナイナイト〕

がんばれ定時制!

・(以下悪寒がするので略)』

——————————–

うわああああああダメだ!それは絶対ダメだ!!

早く…今すぐ自分で考えなきゃ大変な事になってしまう!!(赤面&号泣)

必死に考えた末、もうちょっとマシなタイトルが出た。世界は広い。上には上がいる。私は井の中の蛙だったのかもしれない…。

ちなみに決定したタイトルは『4ジゲン』といいます。舞台である定時制高校の一般的授業数「4時限」とギャグの違和感を端的に示す「4次元」を合わせてどっちの意味も含ませるようにカタカナで…まぁこれもどうかと思うけどさ!!(赤面&脂汗)

さて、お気付きの方もいるかと思われますが、冒頭のようにタイトルとは全く関係のない文章がダラダラ続いて既に1725字に達している訳です。

これを機会に、次回より改題すべきだなと思う今日この頃なのです。

それではまた。

G.N.Baby

[初稿・2005.03.21/改稿・2006.07.05]

樹海

髪を7ヶ月切っていない。

時間がない事はなかったが精神的な余裕がなく、何となく躊躇しているうちに7ヶ月。

いかにもこれから樹海に行きます的ヘアスタイルだ。

樹海には行かず、行きつけの美容室に行った。

行きつけというか、他で新たな床屋を開拓するのは面倒なので、一度思い切って入店した所へかれこれ5~6年通っている。

その間、髪を切ってもらっていた一人の美容師。

パッと見は、ヘラヘラ〜っとしたいい加減そうな兄ちゃんで、どこにでもいる今どきの20代後半。

が、最初からバッチリ希望通りの頭にしてくれたので、腕は確かなのだろうと思う。

「今日はどうなさいますか?」

「前と同じで…」

なんせ7ヶ月ぶりだ。

憶えていませんと言われても文句は言えないが、ちゃんと憶えていた。

ヘラヘラしていてもさすがプロだ。

1ヶ月…いや、最低3ヶ月に一度は来て下さい!と毎回言われつつ、数ヶ月後に樹海スタイルで赴くといつも苦笑いをされた。

ところで、美容師さんってそれがサービスの一環と思ってるんでしょうがやたら質問を投げ掛けてきますよね。

それに対しまるで友達のようにフランクに、ため口で答えるお客さんもよくいますよね。

どうなっているのでしょう?見かける度に不思議な生き物達だなぁと思う。

例に漏れず、樹海スタイルの私に対しても何らかの話題をやんわりと持ちかけてくるのだが、そう簡単に個人情報を漏らしてたまるかと朗らかに拒絶することにしている。

「一條さん、最近お仕事忙しかったんですか?長いこと来てなかったんで」

「まぁそんな感じですねー」

「一條さん、最近どんな音楽聴いてますか?ボク○○とか△△とか聴いてるんですよー。」

「昔の洋楽とか、最近のとか…まぁ色々ですねー」

「昔のというとどの辺り?」

「70年代辺りとか…最近のも色々」

「ジャンルは?」

「んー…何でも聴きますよ」

「一條さん、自分のこと何も話してくれませんよね」

「あははははははは」

私の職業が漫画関係である事はうっかり口が滑ってバレていたが、何の雑誌に載っているのか、ペンネームは、などと誘導尋問をされつつも、たいしたモノは書いちゃいないので、いつもはぐらかしていた。

しばらくすると気を遣ってくれているのか面倒になったのか、その類いの質問はしてこなくなっていた。

不意に、「そういえば、葉書届きましたか?」と尋ねられる。

「え…すんません…記憶に無いです…お店の案内ですか?」

「実は、来月いっぱいで退社するんですよ…実家の床屋継ぐんで、田舎に帰るんです」

東京で美容師をやっていたのは、元々家業を継ぐ為だったらしい。父親が最近亡くなって、母親が切り盛りしているが、そろそろ自分がやらないと、と。

へらへらしたあんちゃんだと思っていたけど、なんて親孝行な。

堰を切ったように、家庭の事、言っちゃいけない凄いお客の事(そして変な客リストの中に自分がしっかり入っている事…)、色々話を聞く。

これまで意識的に余計な事は話しませんオーラを出していた自分だが、意外性に富んだジャブの連発が効いて、不覚にも普通に喋ってしまう。

なんというか…

当たり前の事だけど、みんな家族があって、大事なものがあって、生き甲斐があって。

その為に努力して、力をつけて、自信をつけて。

地に足がつかずフラフラしているのは自分の方だ。

「実家の床屋継ぐ事になったら、漫画をいっぱい置きたいんですよ。 一條さんの漫画、いつか知ることがあったら絶対置きます。」

いやいや…置いたら色々苦情などがあると思うので……。

「胸を張って置いてもらえるモノが出来たら、送りますから」

はぐらかしたわけじゃなく、ほんと、そうしようと思った。

来月いっぱいかぁ…じゃあ今度こそ1ヶ月以内にもう1回切りに来ますよ。と言うと、

「そんな珍しい事があったら30%オフにしますよ!」

と言われた。

10%でも50%でもなく、30%。

きっと家業は上手くいくだろうなぁと思った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

……という日記を書いたのが、2005年8月17日。

もうすぐ7ヶ月目になるが、結局また樹海がよく似合う髪形に戻ってしまった。

新たに床屋を開拓するか、樹海へ行くか…

その答えはまだ……見つかっていない……

…いや、どうでもいいから早く切れ。うっとうしい。

[初稿・2005.08.17/改稿・2006.03.11]

防犯の皮

先日、東京は武蔵野市、吉祥寺へ足を運んだ。引き篭もりのくせに。

ふと足下を見ると路上喫煙禁止のマークがそこかしこにある。

23区内各地での路上喫煙禁止は認識していたが、まさかここまで勢力を伸ばしていたとは…。

ここ数年で急速に禁煙区域は拡大しているように感じる。何故こうも急に…手の平を返したように……。

その社会の豹変ぶりに少なからず疑問を抱いていたが、ふと思い出した。

私には思い当たる節がある。

中学2年生の頃。

『防犯ポスターコンクール』というものがあった。

万引きはダメだよ・シンナーは程々に・夜道はエロい事されるよ・などなど、悪の道へのきっかけとなりうるありとあらゆる事柄を撲滅する事を目的に、ポスターを描けと命じられるのだ。

県警などが主催する、青少年への啓蒙的な催しだったと記憶している。

私は未成年の喫煙を題材にポスターを描いた。

灰皿に置いたタバコから揺らめく煙を悪魔に見立て、喫煙者の身体を蝕もうと企んでいるかのように妖しく微笑んでいる。

そんな悪魔の企てなど知る由もなく興味本位でタバコに手を伸ばす、若者の手。

バックでは、無数のジグソーパズルが崩れ始め、その隙間からメッセージが覗く。

『打ち砕け!悪魔の囁き!!』

えーと…ちょっと着の身着のまま旅に出ても宜しいでしょうか……。

その頃の私は、美術と体育と給食だけは大好きな脳味噌ツルツルの人間だった。深く考えずただ闇雲に、真剣にポスター製作に打ち込んだ。

何度も何度も下絵を吟味し。

効果的で且つ緻密な配色を何度もテストし。

丁寧に慎重にポスターカラーで輪郭を取り。

ムラが一切出ないように均等に塗りつぶし。

おもむろにタバコに火をつけ、深く息を吸い込み。

………釈明すると、中学1年になり始めの頃から吸い始めたタバコは既に私の中枢を支配しておりまして、数時間空けば禁断症状が出るほどのヘビースモーカーだったのです。

何の釈明にもなってない。

いわば経験に基づくリアルなメッセージ、悪魔の囁きに屈した地獄からの雄叫び、ソープ嬢に説教するオッサン、そんな感じだ。

提出したそのポスターは、学校から防犯ポスターコンクール事務局へ渡り、県警へ渡り、優秀作品として賞状を計2枚授与される結果となった。

県内の全中学校の中から数名だけの受賞者に対し警察関連施設に於いて授与式があり、授業途中で抜け出す形で出席するよう命じられた。防犯の申し子、犯罪撲滅を声高に主張する青少年の代表として、義務教育よりも優先されるべきと判断された表彰を受けるわけだ。

知らせを聞いた瞬間、顔が蒼白になった。

バレたら補導されて新聞沙汰になって引っ越しを余儀なくされて貧乏になって一生後ろ指を差されて生きていくんだ!!

ああ…どうしよう…ソワソワ…おもむろにタバコに火をつける。

つけるなバカァァァ!!

授与式当日。

その日一日だけ禁煙をした。

あれから数年、禁煙区域は爆発的に拡大している。

あの時の不正に気付いた警察や禁煙推進組織が威信を懸けて、私を追いつめる為に近年の禁煙ブームを加速させているのだろうなぁと推測される。

防犯の皮を被った悪魔の下僕を盛大に表彰してしまったのだ。

狙いは私だ。私を精神的に抹殺しようとしているのだ。

殺れるものなら殺ってみろやー!!

と、タバコをバカバカ吸いながら死んだ魚のような目でキーボードを打ち付ける今日この頃。

なんだか違う種類の悪魔が私の頭に囁いているようです。

[初稿・2006.02.04]

1000ml

つい数週間前の話し。

朝、7時過ぎだろうか。

家族全員の軽い朝飯として、たまにパン類と牛乳、100%果汁ジュースなどの買い出しに出かける。

そんな時間に空いている店は、当然の事ながらコンビニエンスストア。

レジに、1000mlの紙パックの牛乳、同じく1000mlのリンゴジュース、6つ切り食パン、チョコスティック状の菓子パンを差し出す。

笑顔で「いらっしゃいませ!」と20代後半くらいの快活な女性店員。

朝から非常に元気があってよろしい。

テンポよく商品を手に取りバーコードを読み取り、商品をビニール袋に入れていく。

その時、何やら長いモノをひょいと入れた。

……ん?

特に何も言われなかったので、気のせいか…と意識の中で軽く流す。

「ありがとうございましたー!」

朝から非常に元気があってよろしい。気持ちの良い挨拶は、澱んだ気分をすっきり吹き飛ばしてくれる。

帰宅して中身を確認してみると、ストローが一本入っていた。

1000mlの紙パック製品に、ストロー。条件反射的に、間違って入れてしまったのかしら?

が、よく見ると通常のものよりも長い。妙に長い。こんな長いの、初めて見たぞ…。

試しに牛乳パックの口を開け、ストロ−を挿入。

おお…ピッタリではないか…。

という事は先程の快活な20台後半女性店員は、私が一人で、この1000ml飲料×2を飲み干すと勝手に脳内でジャッジを下したという事か。

1リットルをチューチューチューチュー、プリティだかワイルドだかよく分からん飲み方をする人間、という解釈をしたのか。

なにその解釈。失敬な奴め!!

それからまた数週間後、どうにも疑念が晴れない私は、実験を試みた。

前回とほぼ同じ、朝の7時過ぎに、再び同じ買い物をしてみるのだ。

残念ながら店員は違う人間。

前回と同一条件下で、おもむろにストローを突っ込もうとしたその時は、

「…何を入れている、貴様ぁぁ!!」

と毅然とした態度で断固、戦おうと思っていた。

しかしながら、人が違えば対応も違う可能性が高い。

とりあえず物は試し、前回と同じく1000mlの牛乳とリンゴジュース、食パン、菓子パンをそれぞれレジに差し出す。

店員「ストローはお使いになりますか?」

しまった…ストレートに問い掛けてきやがった…。予想外の展開に、思わずポカーンとしてしまう。アホ面丸出しだったと思う。よだれが出ていたかもしれない。

いや、落ち着こう…そもそも1000mlにストローを薦める時点でおかしいじゃないか。毅然とした態度で抗議するべきだ。

筆者……えーとなんでですか??」

うわぁ…弱腰。

店員「え!?あいえはい。」

何事も無かったかのようにレジ操作を再開する店員。

無かった事にするつもりか。何なんだ一体。俺のよだれを返してくれ。

ますますモヤモヤが募りつつも、外に出る。

ふとみると、やたら工事関係のトラックが停まっている。

……あ……と気付く。

体力を使うお仕事の人は、昼休みに、または夜勤明けでグイッと、一リットル牛乳などを一人で飲む事もあるかもしれない…。

ガタイが良くて無精ヒゲで何となくどこかで何らかの作業をしてきたような服を着ていたので、そのような職業だと思われたのかも……そう考えると合点がいく。

別にいいんですけど。最初の店員の決めつけはなんなのか。

問答無用で職業を何となく選定される気持ちが解るか。

よし。これからはスーツやタキシードなどを着こなして行ってやる。

[初稿・2006.02.02]

そんなキャラじゃない

人はいくつもの顔を持つ。

筆者は漫画業界で細々と暗躍しているダメ人間だが、何を隠そう(隠しちゃいないが)、二児の父親だったりする訳です。

毎年毎月、毎週毎日、多数の方々に経済状態を心配されながらも細々と暮らしている今日この頃です。

心配するなら炭水化物や動物性蛋白質などをくれ。

さて、私のDNAを受け継ぐ二匹の哺乳類は日中保育園に預かってもらっていて、一年に一度、保護者懇談会というものがある。

私は極端にシャイな社会不適合者なので、そういう会合は妻に任せっきりだった。

が、たまには社会と接点を持たなくては…と、初めて参加してみる。

教室内にズラッと円形に椅子を並べ、ズラッと保護者が座り。

先生が連絡事項や園内での生活などをズラズラ述べつつ、保護者一人一人順番に、相談や気になっている事を喋り、皆で知恵や経験を出し合って話し合う、といった段取り。

4〜5歳児ともなると次第に悩み事も少なくなり、どちらかと言えばこれから小学生に向けての心構えというかステップアップというか、何となく漠然とした不安事が殆どだ。 いや、ほんとに困ってる事ってなかなか言えなかったり言っても仕方がないので言わなかったりするかもしれない。

我が息子に関しては、「根性がなくて困ってます…(父親に似て)。困難な局面ですぐに諦めてしまうのです…(父親のように)」と告白。

いや、息子さんは得意な事に関しては凄い集中力ですよー、ブロック作りとか…と先生に励まされる。

凄い集中力でブロックを作り続ける子。

友達居なさそうだなぁ…(父親に似て)。

子供が自分の爪を噛んで困る、という保護者さんがいた。

お、自分と同じじゃないか。何を隠そう(隠しておいたほうがいい気もするが)、小学校高学年まで爪を食していた人間だ。暇さえあればコリコリコリコリ食していた。あと爪の横の皮。食べちゃうよね。自分が生きてる限り何度食べても再生するので環境にも優しいよね。最も身近な自家栽培。自分で自分を食べる行為って堪らないよね。

ところで、ここを読んでいる人がどんなにドン引きしようが僕は構わない。

それはともかく。自分の場合は、中学に上がり、自意識がほとばしるほど過剰になっていく過程で、とにかく「恥ずかしい」と感じるようになり、自ら断食した。習慣というのは恐ろしいもので、味も素っ気もない爪や皮でも、常食していた人間からすると中毒とも思えるほどの存在となる。ふと手を見れば据膳。グッとこらえる。でもちょっと噛むぐらいなら…いやいや…でも……。

教室で自分の手をジッと見つめ、何やら真剣に考えている中学一年生がいたら、断食中or手淫は一日何回に留めるべきかで悩んでいるかのどちらかだ。断言する。

その保護者さんの相談の行方を興味津々に見ていたが、誰も解決策を提示する気配が無い。

というわけで、自分の経験上人に言われてやめる事は絶対ないから、ここは具体的にお子さんに説明してみては、と提案。

一番の問題は、爪の間に入り込んでいるバイ菌や寄生虫の卵なので、まずその恐ろしさを教えましょう、と。

口だけで説明しても、4~5歳児は想像力がまだ追いつかないと思われるので、目黒にある寄生虫館に連れて行きましょう、と。

実際数年前に行った事がありますが、サナダムシのTシャツなどがあって、とてもフレンドリーな施設でしたよ。と。

私は2度と行きませんが。

そんなこんなで、気がつくといつの間にか保護者の中で一番喋ってしまう。

後日、保育園の送り迎えに行った妻が、「懇談会で旦那さん凄く喋ってた、的確で感心した」と他のママさんや先生方に何度も言われたらしく、夫はそんなキャラじゃないのに何事かと困惑。

シャイな社会不適合者のくせに何を喋ってきやがった、と問われる。

あえて「いや…別に…」と濁しておく事にする。

人はいくつもの顔を持つ。

家と保育園で二つの顔を持つ男。

……別にカッコよくない。

[初稿・2005.12.05]

俺の進化

何万年、何億年の時を経て生物は進化を続け、人間はここまで辿り着いた。

文字で書けばたった34文字だが、その過程を遡れば途方もないものだ。

魚が陸に上がって生活する…それだけでどれほど身体が変化しなければならないのか。いきなりニョキッと足が生えた訳じゃあるまい。日々刻々と、ほんの僅かずつ、本人も気付かないほどの変化を積み重ねて、我々は進化しているはずである。

いきなり何の話しだ。宗教でも始めたのかと思われるかもしれないが、そうではない。

ここだけの話だが、私は目に見えて進化しているようなのだ。

自己啓発セミナー等に通っていらっしゃるのか。そう思われるかもしれないがそうではない。待て。行かないで。聞いてください。

どうにも腑に落ちない身体の変化があるのです。

もう、十年近くにわたって、私を断続的に悩ませ続ける人体のミステリー。

右手の人差し指と中指の、第1・第2関節の外側、それぞれ計4箇所が、定期的に強化されている。

端的に言うと、脱皮して、その度に皮が強くなっているのだ。

言葉では非常に説明しづらいので、図にしてみた。(図1)

図にしても解りにくいですか。そうですか。

1〜2ヶ月に1度、痛みや痒みなどは全く無く、ふと気付くと皮が浮きあがり白くなっている。

 

「あーまた俺は強くなるのか

やるせない増強感に溜め息をつき、虚ろな目をしつつ皮をグリグリと剥ぎ取ってしまう。

中から出てくるのは、ツルッとした強靱な皮膚。

何故だ。何だ君は。ツルンとしやがってさ。

前記のように、痛みも痒みも無いので、病院に行くほどでもない。

何かのついでにお医者さんに訊いてみるぞ!と意気込みつつも、そうそう皮膚科に行く用事もなく、日々が過ぎていった。

Webで虱潰しに検索してみるも、該当する症状は見当たらず。

第一候補と目されていたカビや水虫などの菌関係は、痒みや水泡や角化、転移等を伴うようで、いずれも該当しない。

妻に、これはどういう事だろう…と相談してみた所、

「おかしいんじゃない!?」

とピッチャー返しのように疑問をはね返された。

うん、ほんと…ご免なさい…おかしくて……。

以上をもって、今のところ自分を納得させるにはこの結論しかない訳です。

日々刻々と、ほんの僅かずつ、私(の右手の人差し指と中指の、第一・第二関節の外側計4箇所)は進化している、と。

このまま進化し続けたら、私はどうなってしまうのか。

図にしてみた。(図2)

わ〜、パスタなど持ちやすそ〜♪

…どなたか止める方法がありましたらご連絡下さい。

[初稿・2005.11.03]

子供の言葉

子育ては、叱るより褒める事が大切だとよく聞く。

尤もだと思う反面、ここだけはダメだという線引きも大事だと思う訳です。

例えば命に関わる事、他人に危害を与える事、周りに迷惑を与える事…

その辺は人として最低限の部分として、一番判断に困るのが礼儀、とりわけ言葉遣いだ。

近ごろ、長男(5歳)の言葉遣いが悪い。時折、教えるはずも無い、耳を疑うような単語が飛び出し、絶句する事がある。

例えば、長男が集中しながらブロックを組み立てつつ、ボソボソ呟いている言葉に耳を澄ますとこんな言葉が聞こえてくる。

 

クソ野郎

 

…えぇぇぇ…!?

少なくとも私は、心の中で何度も何度も何度も思った事はあるにしろ、そんな言葉を子供の前で発した事は無い。誰だ、そんな言葉を吹き込んだヤツは!!

いや、それ以前に何故ブロックをそんなにも侮辱する必要があるのさ。

まだブツブツ呟いている幼児。

 

ぶっころす

 

嗚呼…5歳児がなんて言葉を……このまま育ったら確実にリーゼントじゃないか…(なんとなくイメージ的に)。

様々な調査の結果、通っている保育園から覚えてきていると判明。

他のお子さんの影響をもろに受けているようで、みんなが喋っている言葉、イコールカッコいい言葉、と感じている節がある。確かに自分の子供時代を鑑みればその気持ちはよく分かる。分かるが、ぶっ殺すなどと呟く幼児はダメだ。怖いから。

これはいかん、外部からの影響より家庭内の影響力を強めねば!!と絵本の読み聞かせ率を強化。最近では平仮名の読み書きにも興味を示し、言葉を理解する喜び、表現出来る楽しみを感じてきたようだ。

勉強なんか出来なくても構わないと思っているが、対象が何であれ学ぶ意義のようなものを見いだす事は非常に有意義な事であると思う。

そんなある日、妻と長男が何やら揉めている。

激しく憤慨している長男。

何事かと尋ねると、長男が目の前に駆け寄ってきて、まるで凄んでいるかのように睨み、幼児なりにドスを利かせた声で言った。

 

「勉強するヤツ買ってこいよ!!!」

 

…えーと…。

要約すると、平仮名の書き取りをする幼児用のドリルが欲しいらしいが、こういう場合は、勤勉な心が芽生えた事を褒めるべきか、親に向かって何だその言葉遣いは!と叱りつけるべきか…。

そんなことを考える間も無く、何だか色んな方向のミスマッチで妙に可笑しく大笑いしてしまった。

今後も

「お前らの身体をファックする恐れのあるあらゆる病をぶっ殺す為に医学部目指すぜクソ親父!」

「貴様らボケ老人の事を考えて二世帯住宅を俺にぶっ建てさせろよ!超バリアフリーの家で俺様に看取られ安らかに死ね!!」

等と言ってくれないかなぁとテキトウな事を考えているバカ親でご免なさい。

[初稿・2005.08.26]

ソントン

幼い頃、食事に対する躾けは厳しかった。

出されたものは美味かろうが不味かろうが米粒一つ残すべからず。出されないものは欲しがるべからず。粗食が一番。

そんな家庭で育った僕は、パンに『ソントンのピーナッツクリーム』を付けて食べるのが大好きだった。

紙の容器に紙の蓋、蓋を開けると銀紙状のもので密封されていて、開ける時いつもビヤッと中途半端に破けて人生全てが虚しく感じられたりする、あのパッケージの。そんなのは僕だけですか。そうですか。

ただし、子供の健康や躾け的な事を考えてか、食パンに厚塗りをすると母親に懇々と叱られた。

とにかく薄く。とことん薄く。親の顔を窺いながら、最小公倍数的な塗り作業…欲求不満極まりない。

子供心に、お金持ちになってソントンをいくら食べても文句の言われない男になろうと誓った。オツムの弱い子供だった。

それから十数年後。

一人暮らしを始めた。

思う存分、食パンがドシッと重みを持つほど塗りたくってやるぜ…俺はやるんだぜ…。

それが幼い頃からの夢であり、野望であり、復讐だった。

文字通り、甘さに身を委ねた蜜月の日々である。

それから毎朝ほぼ欠かすことなく、現在に至るまで厚塗りソントンパンを食している。時にはクリームだけを食べてしまう時も。反動とは恐ろしいものだ。

恐らく日本で、否、世界で一番ソントンピーナッツクリームを摂取している生き物はこの僕だ!!満天の星空に向かってよく叫んでいたものだ。

最低でも3日で1カップ摂取。年間に換算すると、およそ121個。

5年以上はその生活を続けているので、単純計算で605個は食べている計算となる。

親に叱られる事はなくなったが、妻に心配されるようになった。心配というより、正直、気味悪がられている。あなたが理解出来ない…ハッキリとそう言われた。

容器の側面に記載されたお客様相談室に相談してみた。

筆者「3日に1カップ、ピーナッツクリームを食べ尽くす生活をこれからも続けて良いものでしょうか」

お客様相談室「それでは、担当の者にご質問内容を伝えて、そちらにご連絡させますので、お名前とご連絡先を…」

何故こんなことで赤裸々に個人情報をばらまいているのだ僕は…と思いつつ正直に伝え、待つ事数時間。妙に庶民的で親しみ深いボイスのおばさんからコール。担当者らしい。

「健康な方なら特に問題はないです。」

「食事制限などをしている人は、お医者さんに相談してみてください」

「カロリーだけ気をつけて頂ければ、ピーナッツは脳の活性化にも良いですし」

「ただ、今の時代、パソコンなどで目を酷使する事が多いので、時折ブルーベリージャムを合間に挟んで食べるのはいかがでしょう」

「ブルーベリーは目にイイですから」

「ヨーグルトに混ぜて食べると、整腸効果もありますし」

「紅茶に混ぜて飲むのもいいかもしれませんね。ブルーベリージャム」

いつの間にか、ブルーベリージャムを如何に美味しく食べるか、陽気なおばちゃんと和気あいあいと喋っていた。いかんいかん。

結論としては、問題無し!とのこと。

お墨付きを頂いた事で僕のソントン狂は確固たるものとなってしまった。

そして相変わらず妻に気持ち悪がられている。

ソントンと私とどっちを取るのか、と迫られたら…。答えを出せる自信は正直言ってない。

僕の躾けは失敗です。母さん。

[初稿・2005.08.02]

動物園

動物園って凄い。

だって、動物がたくさんいるんだもの。

そして動物の数だけウンコも…。

某T動物公園に行ったときの出来事。

その日は、昨今の異常気象を代表するかの如く尋常じゃない暑さ。

家族とともに、全員汗だくになり、なんかもう哺乳類なんてどうでもいい状態で象を眺めていた。

「あぁ…大きいなぁ…象のウンコ…」

そんなかぐわしい感想しか思いつかないほど暑さにやられた脳細胞をリフレッシュさせるため、近くにあった自動販売機でジュースを購入することにした。

自販機は2台並び、片方は缶ジュース、もう片方は紙コップ式。

紙コップのジュースといえば当然細かい氷入りと予想され、とにかく冷たい何か、を求めていた私は、迷わず紙コップ式の自販機に小銭を投入。

三分の一が氷と思われるその液体をガムシャラに口に含むと、何やら私のオーバーヒートした脳が瞬時に覚醒し、警報を鳴らす。

ははは…まさか…誤作動誤作動…。

素知らぬ振りでやり過ごそうと思ったが、飲めば飲むほど脳のサイレンが鳴り響く。

象臭い。

 

正確には、『象のウンコ臭い』。

 

うわーい!象のウンコ臭いよ!!

 

現場が近いのでその匂いが漂っているだけだと思いたかったのだが、象と距離を置く、缶ジュースと飲み比べ、などの実験を重ねた結果、象のウンコ臭が風に運ばれ紙コップに染みついたのでは…という結論に。なるほど…。なるほどじゃないよ!!そのぐらい計算出来ないものか動物園なんだからさぁ!!(涙)

飲みたくて飲みたくてしょうがなかったものがやっと手に入り、潤いと甘味と爽快感を今ここに味わえると口に含んだその味が象のウンコ味。 象のウンコエッセンス配合。

お口と鼻腔に広がる象のウンコの微粒子。

最悪だ。心から不愉快だ。

微妙な、ほんのかすかな匂いというのもまた不愉快だ。

何度もテイスティングをした揚げ句、「黒」と判明したときの虚脱感…。

いっそ、ウンコを盛ってくれないか。紙コップに。

動物を見れば見境なく手を振ってしまう私といえども、動物の排泄物を好んで食するほど動物愛に溺れているわけではない。

そして、私と同じ思いをしている人が少なからずいるやもしれない。

使命感をメラメラと滾らせ、緊張から手の平に汗を滲ませつつ、後日、思いきって電話で抗議をしてみた。クレーマー上等。

 

筆者:「アフリカゾウのいるあたりの自動販売機、紙コップに糞の匂いが染みついてることがあるのですが、あれ、どうにかなりませんか」

T動物公園:「他のお客様からはこれまで一度もそういう報告は受けていないのですが、その旨自動販売機の管轄の部署に伝えておきます。是非また遊びに来てくださいね♡」

 

いともあっさりいなされた。

さすが動物の扱いは手慣れたものだなぁと思った。

動物園って凄い。

 

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(画像の家族はウチの家族じゃないです。ペットボトルを買ってました。ちっ。)

[初稿・2004.10.20/改稿・2005.06.28]