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0826

title_image  子供の言葉

子育ては、叱るより褒める事が大切だとよく聞く。

尤もだと思う反面、ここだけはダメだという線引きも大事だと思う訳です。

例えば命に関わる事、他人に危害を与える事、周りに迷惑を与える事…
その辺は人として最低限の部分として、一番判断に困るのが礼儀、とりわけ言葉遣いだ。

近ごろ、長男(5歳)の言葉遣いが悪い。時折、教えるはずも無い、耳を疑うような単語が飛び出し、絶句する事がある。
例えば、長男が集中しながらブロックを組み立てつつ、ボソボソ呟いている言葉に耳を澄ますとこんな言葉が聞こえてくる。

 

クソ野郎

 

…えぇぇぇ…!?
少なくとも私は、心の中で何度も何度も何度も思った事はあるにしろ、そんな言葉を子供の前で発した事は無い。誰だ、そんな言葉を吹き込んだヤツは!!
いや、それ以前に何故ブロックをそんなにも侮辱する必要があるのさ。
まだブツブツ呟いている幼児。

 

ぶっころす

 

嗚呼…5歳児がなんて言葉を……このまま育ったら確実にリーゼントじゃないか…(なんとなくイメージ的に)。
様々な調査の結果、通っている保育園から覚えてきていると判明。
他のお子さんの影響をもろに受けているようで、みんなが喋っている言葉、イコールカッコいい言葉、と感じている節がある。確かに自分の子供時代を鑑みればその気持ちはよく分かる。分かるが、ぶっ殺すなどと呟く幼児はダメだ。怖いから。

これはいかん、外部からの影響より家庭内の影響力を強めねば!!と絵本の読み聞かせ率を強化。最近では平仮名の読み書きにも興味を示し、言葉を理解する喜び、表現出来る楽しみを感じてきたようだ。
勉強なんか出来なくても構わないと思っているが、対象が何であれ学ぶ意義のようなものを見いだす事は非常に有意義な事であると思う。

そんなある日、妻と長男が何やら揉めている。
激しく憤慨している長男。
何事かと尋ねると、長男が目の前に駆け寄ってきて、まるで凄んでいるかのように睨み、幼児なりにドスを利かせた声で言った。

 

「勉強するヤツ買ってこいよ!!!」

 

…えーと…。

要約すると、平仮名の書き取りをする幼児用のドリルが欲しいらしいが、こういう場合は、勤勉な心が芽生えた事を褒めるべきか、親に向かって何だその言葉遣いは!と叱りつけるべきか…。

そんなことを考える間も無く、何だか色んな方向のミスマッチで妙に可笑しく大笑いしてしまった。

今後も

「お前らの身体をファックする恐れのあるあらゆる病をぶっ殺す為に医学部目指すぜクソ親父!」

「貴様らボケ老人の事を考えて二世帯住宅を俺にぶっ建てさせろよ!超バリアフリーの家で俺様に看取られ安らかに死ね!!」

等と言ってくれないかなぁとテキトウな事を考えているバカ親でご免なさい。

 
 

[初稿・2005.08.26]

0802

title_image  ソントン

幼い頃、食事に対する躾けは厳しかった。
出されたものは美味かろうが不味かろうが米粒一つ残すべからず。出されないものは欲しがるべからず。粗食が一番。

そんな家庭で育った僕は、パンに『ソントンのピーナッツクリーム』を付けて食べるのが大好きだった。
紙の容器に紙の蓋、蓋を開けると銀紙状のもので密封されていて、開ける時いつもビヤッと中途半端に破けて人生全てが虚しく感じられたりする、あのパッケージの。そんなのは僕だけですか。そうですか。

ただし、子供の健康や躾け的な事を考えてか、食パンに厚塗りをすると母親に懇々と叱られた。
とにかく薄く。とことん薄く。親の顔を窺いながら、最小公倍数的な塗り作業…欲求不満極まりない。
子供心に、お金持ちになってソントンをいくら食べても文句の言われない男になろうと誓った。オツムの弱い子供だった。

それから十数年後。
一人暮らしを始めた。

思う存分、食パンがドシッと重みを持つほど塗りたくってやるぜ…俺はやるんだぜ…。
それが幼い頃からの夢であり、野望であり、復讐だった。

文字通り、甘さに身を委ねた蜜月の日々である。
それから毎朝ほぼ欠かすことなく、現在に至るまで厚塗りソントンパンを食している。時にはクリームだけを食べてしまう時も。反動とは恐ろしいものだ。
恐らく日本で、否、世界で一番ソントンピーナッツクリームを摂取している生き物はこの僕だ!!満天の星空に向かってよく叫んでいたものだ。
最低でも3日で1カップ摂取。年間に換算すると、およそ121個。
5年以上はその生活を続けているので、単純計算で605個は食べている計算となる。

親に叱られる事はなくなったが、妻に心配されるようになった。心配というより、正直、気味悪がられている。あなたが理解出来ない…ハッキリとそう言われた。

容器の側面に記載されたお客様相談室に相談してみた。
筆者「3日に1カップ、ピーナッツクリームを食べ尽くす生活をこれからも続けて良いものでしょうか」

お客様相談室「それでは、担当の者にご質問内容を伝えて、そちらにご連絡させますので、お名前とご連絡先を…」
何故こんなことで赤裸々に個人情報をばらまいているのだ僕は…と思いつつ正直に伝え、待つ事数時間。妙に庶民的で親しみ深いボイスのおばさんからコール。担当者らしい。

「健康な方なら特に問題はないです。」
「食事制限などをしている人は、お医者さんに相談してみてください」
「カロリーだけ気をつけて頂ければ、ピーナッツは脳の活性化にも良いですし」
「ただ、今の時代、パソコンなどで目を酷使する事が多いので、時折ブルーベリージャムを合間に挟んで食べるのはいかがでしょう」
「ブルーベリーは目にイイですから」
「ヨーグルトに混ぜて食べると、整腸効果もありますし」
「紅茶に混ぜて飲むのもいいかもしれませんね。ブルーベリージャム」

いつの間にか、ブルーベリージャムを如何に美味しく食べるか、陽気なおばちゃんと和気あいあいと喋っていた。いかんいかん。
結論としては、問題無し!とのこと。

お墨付きを頂いた事で僕のソントン狂は確固たるものとなってしまった。
そして相変わらず妻に気持ち悪がられている。
ソントンと私とどっちを取るのか、と迫られたら…。答えを出せる自信は正直言ってない。

僕の躾けは失敗です。母さん。
 
 

[初稿・2005.08.02]


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