『殺し屋さん』第2巻 発売(及び、幻の装幀案)

ボヤボヤしている間に、明日(12月12日)『殺し屋さん』第2巻の発売です。

以下の表紙が書店に並んだり埋もれてたりします。

何卒よろしくお願い致します。

Amazon.co.jp:殺し屋さん2(タマちく)

実は発売前日だと言うのに未だ現物が届いていないので(主に原作者がグイグイと足を引っ張った為)、色々と不安ではあるのですが…。

帯もギリギリまで文章の変更等があったもので、画像が用意出来ません…ごめんなさい。

今巻の装幀は、前巻に引き続きよつばスタジオの里見英樹さんにお願いしました。

前巻を踏襲したデザインですが、実は最初の案はちょっと違いました。

基本的にカバーに関しては作画者さんとデザイナーさんに殆どお任せしているので、担当編集さんには「私に確認せず進めてください」と言っていたのですが、

「ちょっと特殊なのでどうしても見て欲しいんですけど

と担当編集さんから電話が。

…………特殊?

ただならぬ雰囲気に、至急メールで転送してもらいました。

画像を開いた瞬間、爆笑。

凄い。画期的。

謙虚の応酬の末

たまーに妙にアクセスが増大する時があって、不安になって調べたりするのですが、以前、こんな所で作品名をチョコッと出して頂いたりしていました。

JanneDaArc(ジャンヌダルク)kiyoオフィシャルブログ『kiyo風呂』

http://ameblo.jp/janne-kiyo/entry-10011154139.html

http://ameblo.jp/janne-kiyo/entry-10011223403.html

うわー、ミュージシャンだ!芸能人だー!と単細胞の私は浮かれつつ、こっそり感謝していたのですが、その後も”Janne Da Arc 公式モバイルサイト”にて画像付きで『殺し屋さん』が愛読書と紹介して下さったり…そしてその度にアクセスがもの凄い事になる訳です。

うーむ…これはなんらかのお礼のメッセージを送るべきだ…。

返信無用と断りを入れつつも、ありがとうございましたとメッセージ。

すると即、謙虚で誠実なお返事が。

そ…そんなつもりでは……お手数をお掛けして申し訳ないです…と返信。

するとまた謙虚なお返事が…。

謙虚の応酬で、いつの間にかお知り合いになってしまいました。

http://ameblo.jp/janne-kiyo/entry-10017509392.html

http://ameblo.jp/janne-kiyo/entry-10017553599.html

ところで。。

昨日の答えの方の記事にも書きましたが

いい事があったんです。

なんとあの

『B.B.Joker』

や、

『殺し屋さん』

の原作者、一條マサヒデ様と

お知り合いになれました!!

なんか日本語おかしなってる?

いやもうなんか

すごない!?

しかも低姿勢で気を遣ってくださって。。

っていうか、お知り合いって

勝手に思ってるのはオレだけかもしれんけど。。

でも、いいねん。

というわけで

みなさんにご報告でした。

ええやろ。

いやいや…私と知り合っても何一つイイ事は無いのですが…

いやでもほんと、飲みに(食べに)行きましょう。とこちらも勝手に決定しているので是非よろしくです。

そして駄目押しで殺し屋さん2巻の宣伝まで…

http://ameblo.jp/janne-kiyo/entry-10019266317.html

あぁぁ…どんなお返しをすれば…お背中お流しいたします。

ところでkiyoさんは先頃、ブログをまとめた本を出版されてます。

kiyo風呂

と、今Amazonの説明文見て知りましたが、月間100万アクセス…スゲー……

ここのブログは殆ど死んでいるので、宣伝効果ゼロに等しいのですが……。

誰かの役に立つかもしれない

そういえば、このコラムの依頼を受けた時、「字数は600字前後で」という話しだった。

しかもイラスト付きで、という話しだった。

いつもいつも軽く1400字は越えている。イラストを載せるスペースも無い。何の役にも立たない戯れ言のくせに、〆切りすら守らない。

たまには簡潔でイラスト満載で誰かの役に立つ情報を発信したいものだ。(※〆切りは現時点ですでに大幅に破っているので無視する)

というわけで、以下の絵を見て欲しい。

1mm弱

世の中には「知らなきゃよかった…」という事が数多く存在すると思う。

田舎から、よく米が送られてくる。

精米前の玄米の状態で、米袋ギッチリ。その量30kg。

そう簡単に食べられる量ではなく、近所の自動精米所で半分ずつ白米にしては何ヶ月か掛けてチマチマチマチマ食べている。

半分といっても15kgだ。

店頭で見かける大きめの米パッケージは10kg。それよりも多いわけだ。

米びつをギッチギチに満配にしてもまだ余る。減ってはつぎ足し減ってはつぎ足しで、米びつが空になる事は殆ど無かった。

お米の心配をする日がない…なんと幸せな事か。

田舎の両親と、実際に米を作っている叔父ちゃん叔母ちゃんに感謝をしつつ、その日食べる分の米を米びつから二合半取り出す。

なにやら黒いお米がポツポツと動いている気がした。

気がした、じゃない。動いてる。

「ぬああああああああ!!」

183cm81kgの男は悲鳴を上げた。若干ピンク色の声だ。

乙女のような腰つきになった大男は、恐る恐る米を見てみる。

1mm弱の虫が、比較的速くサササササと動いている。

「なに考えてんだよ!!!!!」

吐き捨てるように一人で叫びながら、猛烈に後ずさりする男。

突っ込み方が明らかに間違っているが、そんなことはどうでもいい。なにしろ、超内股だ。なりふりも言葉の整合性も構っていられない。

1mm未満に負ける1830mmの男。なんて小さな男なのだろうか。

いや、でも待って欲しい。1mmが一匹だけならそんなに驚く事ではないが、何万匹のアリに襲われたら人間はほんの数秒で骨だけになると言う。

1mmを侮ってはいけない。1mmを笑う者は1mmに泣く。

そんな1mmが、約3cm四方に1匹の割合でワラワラと動いているのだ。

ということは、この十数kgの白米が入った米びつの中には一体いくつの黒いお客さんが…………。

米びつ上部のフタを取り、半透明のゴミ袋を被せ、逆さまに。

一気に米の重みで突っ張りきるゴミ袋。

間髪を入れずに袋を固結び。その動きたるや、熟練の職人のようだ。なんの職人だか知らんが。

それにしても何故半透明なのか。思わず中を覗き込みたくなってしまうではないか。行政はこういう事態を想定しないのか。

ついつい覗いてみる。彼らは楽しそうに白い野山を走ったり潜ったり出てきたり大忙しだ。

いい加減にしろって

相変わらず、ツッコミがよく分からない。

とにかく、敵の正体を明らかにせねばならない。ウヤムヤでは今後の生活に支障を来す。なにしろ、食の基本、生命維持の根幹を担う物資の問題だ。そして米袋にはまだ精米前の玄米が15kg、同じく精米前の未開封の米袋30kgがもう一つ、玄関付近に無造作に置いてあったりする。

不測の事態を備え逃走経路を確保、超及び腰で慎重に慎重に開封をし確認したが、動くものはいなかった。

玄米の状態だと、比較的虫は発生しにくいようだ。

webにて『米・虫』等の語句で検索してみる。

米につく虫は、代表的なものでなんと6~7種類存在する。

胚芽部分や”ヌカ”を好物とするものや、米と米の間に卵を付着させるもの、米粒の中に卵を産み付けるものなど、様々…

って内部に産み付けるのかよ…!!(泣)

殆どの場合、稲の時点で卵が産み付けられ、しかも体から出す粘着状の物質により産卵の痕跡をふさぐので見つけるのは至難の業、とのこと。

お米以外の栄養素がこれまで何百匹〜何千匹分、自分の肉体に吸収されたのだろうなぁと、目の前が真っ暗になる。

もう少し調べてみる。

虫の種類によっては、成虫になると”蛾”となり、蓋を開けるとバサササーッと無数に飛び交う、とのこと。

…調べなければよかった…。

対応策としては、精米した後は、冷暗所や冷蔵庫で保管する、鷹の爪を2〜3本、お米の袋の中に入れておくと良い、などが挙げられるが、前者は「卵を孵化させない為」という極めて消極的な対処方法だ。後者は残念ながら既に実行済みだった。

虫の卵を食え。

世間ではそういう結論となる。

そして、洗えば大丈夫・米を炊く際に高温殺菌されるので問題ない・ぶっちゃけ虫が付くのは良い食べ物の証拠で、穀物を食べている虫なので体内に入っても問題ない、との詭弁が始まる訳だ。

なんだ?じゃあ虫が群がるウ●コは良い食べ物なのか!?テキトウな事を言うな!!

webにて『ウ●コ・食べる』等の語句で検索してみる。

‥‥世の中には「知らなきゃよかった…」という事が数多く存在すると思う。

カルチャーショック療法により、冷蔵保存をした虫の卵を喜んで食せるようになった今日この頃です。

[初稿・2006.09.11]

にざかな著『4ジゲン』1巻、9月5日(火)発売です。

ずっとココの日記放置していますが、宣伝ぐらいは書かないと…。

白泉社より、『4ジゲン』という漫画の単行本が出ます。

9月5日火曜日です。

A5版(B.B.Jokerと同じ大きさ)・680円(税込)です。

著者名は「にざかな」です。

あれー…なんでまたやってんのー…?と思われる方も多くいらっしゃるかとは思いますが。

私も疑問ですが。

例によってまだ製本されたものがギリギリまで届かないようなので(主に原作者の進行がネックとなり…)、開発途中の、最終稿に近い表紙となりますが…

色味などは若干変るかもしれないとの事です。

また、実際手に取ってマジマジと見ると、何かが変です。手に取らないと恐らく気付きません。え…何故こんな分かりにくいギミックを!?と呆れる事請け合いです。

この画像では全く伝わりませんが。

(製本されたものが届きましたら、また改めて掲載致します)

そんな繊細かつデンジャラスな装丁を手掛けたのは、名和田耕平氏。

さんさん録』の、大胆かつ渋い装丁が素晴らしいと個人的には思います。その他、最近の話題作も数多く手掛けていらっしゃいます。

詳しくは、公式サイト名和田耕平デザイン事務所でどうぞ。

この方、めちゃくちゃ若い。聞いた時は耳を疑った。

その若さで、そんな渋いデザインを……!?と。

作者×2&担当編集&デザイナーの対面4者会議で、泥沼の5~6時間ループ会議となり、出だしからウンザリしたかとは思いますが、完成まで辛抱強く付き合って頂きました…ありがとうございました。

見所としましては…初めてオールカラー漫画が巻頭に付いてます。

月刊LaLaで連載開始時の2色カラーもそのままで掲載されています。

それと、ここに至るまでの色々な事情がちょっとだけ解明されるようなされないような…その辺は飽くまでオマケというかお目汚しという事でひとつ…。

というわけで、書店で試し読みを出来る所も最近は多くあるようなので、まずは冷やかし半分で手に取って頂ければ幸いです。

どうでもいいが可愛かったので。

家にルービックキューブがあるのですが。

1年前の長男の誕生日に、オマケで買った奴ですがね。

5歳児と3歳児に解ける訳も無く、ほったらかしになりつつ、たまに目に付いた時にガッチャガッチャと弄られているのですよ。

全面攻略は法則通りやらないと無理っぽいので、とりあえず一面ぐらい揃えてみては?と提案してみる。

3歳児「ギューニックキューブはー!いろをそろえるんだよね!!」

5歳児「むずかしいんだよねぇ……ギューニックキューブ

……なんだギューニックキューブって。

サイコロステーキの別称か?

なんか可愛くてどうでも良くなった。

レンジャー!!

子供は総じてヒーローものが大好きだ。

ボウケンジャー!!

変身せずに冒険をしろ、卑怯者。

マージマジ、マジーロ!!

…まず並んで座れ、おまえら。 何を言いだすのだ朝っぱらから。

スペシャルポリス、デカレンジャー!!

ポリスレンジャーでいいじゃないか。自分でデカって言うな。

爆裂戦隊!アバレンジャー!!

迷惑だ。おとなしくしろ。

いずれも内容はよく分からないが、とりあえず目の前で自己紹介されたら怒鳴りつけているところだ。

しかしながら子供たちはそんなものでも夢中だ。

いつの時代も、今の時代も。

そして暗黙のルール、受け入れられやすい黄金律というものが作られていった。

3人、または5人前後のグループであるべし。

赤いやつが中心で、熱血直情タイプ、などなど。

ある日、長男(当時4歳)が突然ヒーロー戦隊ものっぽいポーズを取りながら叫び出した。

「ライオンレンジャー!!」

そんな捕食者的なレンジャーはいない!!

と咄嗟に怒り狂おうと思ったが、いや、もしかすると世間ではそんなものが流行っているのかもしれない…

色とりどりなライオン丸みたいなやつが。

まずは子供の話に耳を傾けてみるのが親としての務め…それが信頼というものを築いていく。

誰に教えてもらったのー?と優しく訊いてみる。

「やっくん」

やっくん(仮名)は、長男が通う保育園でもボス的な存在。

傍若無人なガキ大将、というわけじゃなく、同い年なのに兄貴的な存在。

親御さんの教育が素晴らしく、ヒーローものはもとより、テレビを一切見せないという徹底ぶりだ。

すなわち、そのライオンレンジャーなる部隊は、その子の完全なる想像の産物である。

他の子供たちが、デカレンジャー!マジレンジャー!!などと不可解なポーズを決める様を見て、独自に創り出したレンジャーらしい。

そんなレンジャーはいない!!と毅然とした態度で大人げなく真実を教えてやったが、いるよ!いるんだよ!と食い下がる長男。

よし、じゃあどのくらいディティールが完成されているか、チェックしてやろうじゃないか。

「そのライオンレンジャーとやらは何人いるの?」

しばし考える長男。考えるなよ。

…7人」

!!

お…多いなぁ……。全部ライオンなんだ、と訊くと、全部ライオンだ、と答える長男。

「色は?何色がいるの?」

ムラサキとー、オレンジとー」

!!!

いきなりレアな配色からだな…というかその場の思いつきで言うな。

まぁいい…そんなにムキになって否定するものではない。

想像力を働かせ、脳内の宇宙を広げていくことは、今後の人生で大いに力となる。

やっくんの創り出したレンジャーはもう一つ存在する。

ジャ

「……うん、今度は何人いるのかな?」

えーと……1人!!」

さっきのライオンレンジャーと人数を交換しなさい。せっかく虹レンジャーなのに。

それじゃレインボーマンじゃないか。

レインボーマン。名前だけは知っているが、年代的に一度も見た事は無い。

昔のヒーローはどれほど夢や希望や勇気を子供たちに与えていたのだろう。

ふと思い立ち、レインボーマンをWebで検索してみる。

愛の戦士 レインボーマン〜日本を守る日本だけのヒーロー

新興宗教、ハイパーインフレ、大臣に陳情して解決って……すげーなぁ……

♫死ね 死ね 死ね死ね死ね死ね死んじまえ 黄色いブタめをやっつけろ

…子供にテレビは見せたくない、という気持ちがちょっとわかった。

“愛の戦士レインボーマン M作戦編

 

 

[初稿・2005.07.12/改稿・2006.08.11]

誰も知らない

私の仕事部屋(という名の普通の6〜7畳間)にはでかいホワイトボードがある。

スケジュールや思いついた事を羅列したり、マインドマップに使ったり、緊急の書類をマグネットでくっつけておいたり。

子供らがたまに仕事部屋に入ってきて、ホワイトボードにちょこちょこ何かを描いて去っていく。

うーん…これはトーマスとテレンスってところかな……長男、美大出のママの血をさっぱり受け継がず平均的5歳児のヘタさ加減。

その上に覆いかぶさってる赤いものは何だろうな…次男ちゃんの事だからきっとまたグチャグチャオバケだろうな……

いつもこんな感じなので、いちいち気にしていたら仕事にならない。

勝手に描いて勝手に消してねー…と。

仕事から帰ってきた妻が、部屋に入ってくる。

ホワイトボードを見た瞬間、悲鳴。

「なにこれー!もー!!なんでこういうの付けちゃうのかなハル(長男)はーーー!!」

…………ん?なんの事だ……???

小学生の夢

そういえば、この連載は先月で1周年だった。

一体誰が読んでいるというのだ。担当編集者からも感想を言われなくなって久しい。よし、誰も見ていないだろうから今回は少女との交わりを赤裸々に書いてやろう。

妻は普通の仕事をしている。

何をもって普通の仕事というのかよく分からないが、少なくとも真夜中の2時に半裸でスクワットをしながら残虐ネタを考えたりする職業ではない。誰だそれは。僕だ。たまに好き好んで変態になりたい時って、あるよね。

それはともかく。妻が仕事帰りに、同じフロアで働く若奥さんとお茶をしてきた。

若奥さんといっても30代半ばで、小学6年生の一人娘がいるという事らしい。

そしてその娘さんの将来の夢は『漫画家』…。

いわゆる、りぼん系の漫画が好きで、りぼん作家に憧れているらしい。

以前何となくそんな話を聞いてイヤな予感がしていたのだが、妻が帰宅すると

「ちょっと見てもらいたい物が…」

と申し訳なさ気に手提げ袋を渡される。

中には、大量のイラストや漫画。

いかにも少女漫画らしい乙女チックなイラストから、可愛らしい動物系キャラクターを擁した4コマ漫画や。

「プロの漫画家に感想を言ってもらいたいんだって

 

だからなんであなたは俺の職業を中途半端にベラベラ喋るのか。

一応少女漫画誌で連載をしているが、漫画家じゃないし。

青年誌で4コマ漫画を作っているが、血液とか色んな汁が飛び交っているし。

しかし、受け取ってしまった物は仕方がない。

とりあえず義務として全てに目を通してみる。

…頑張って描いてるなぁ…テクニックなんて小学生に求めても仕方がないので、単純に熱意だけで考えると、非常に好感が持てる。

なんでも、小学校の「漫画クラブ」に所属していて、そこで活動する中で描き溜めた自信作を集めました、とのこと。

何度もいうが、量が半端じゃない。

これまでの人生(12年)の全てをぶつけてきた、という趣である。

これが私の全てです!私の自信です!!と。

うーむ…ヘタな事を言ったら何らかの事件に発展するのでは。

親御さん、とりわけお父さんは、娘さんの漫画家志望に断固反対らしく、むしろケチョンケチョンに貶して欲しいという意図があるらしかった。プロに駄目出しされれば諦めてくれるだろう、と。

それほどまでに娘さんの意思は固く、その夢で頭がいっぱいで困っている、という事情だった。

一人娘がそんな状態では心配だろうなぁ、そりゃ…。

しかしながら、なんで赤の他人の俺がわざわざいたいけな少女に恨まれる役をやらにゃならんのだ。迷惑だ!!

でも受け取ってしまった物は仕方がない…

色んな汁を撒き散らす作家として、誠実に考えてみる。

本気で漫画家になりたいのなら、漫画以外の事をたくさん頑張らないとダメだよ。

学校の勉強も、友達との遊びもたくさんして、小説も映画もたくさん観て。

その一つ一つの経験や、身をもって覚えた知識、自分の頭で思い浮かべた自分だけの世界が、自分にしか描けない漫画を生み出すんだよ。

ついでに親御さんにも。

目標をもって生きる事は、その対象が何であれ素晴らしい事です。

何かを成し遂げる為に懸命になる、その姿勢は自分で人生を切り開く力になります。

有無を言わさず留めれば、後悔と遺恨を残すでしょう。

但し、漫画家になるには漫画以外の知識や経験が人一倍必要で、それも含め、広い視野でアドバイスをして、応援してあげて下さい。

たくさんの経験を経た上で、別な道に進む事があればそれはそれでいいし、結果的に漫画家になりたいと決心したのなら、その想いは本物でしょうから応援してあげて欲しいです、と。

社会の底辺を這いつくばる無駄な汁しか生み出す事が出来ない臭い生き物が偉そうに何を言っているんだか…とその場で包丁を手に取り切腹したくなったが、その位しか言えないのだから仕方がない。

後日、その子から可愛い便箋にてお礼の手紙が来た。

プロの漫画家さんにアドバイスを貰えてとても嬉しかった、と。

もっともっと頑張ります、と。小学生らしい拙い字で、一生懸命書いていた。

お礼の描き下ろしイラストもたくさん添えて。

いい子だなぁ…。

どうか色々気付いて普通の職業に就きますように…。

少なくとも、誰も見ていないからと他人との出来事をこっそりネタにするようなイヤラシイ仕事じゃない仕事に就きますように。

その時丁度作業をしていた色んな液体が飛び散る4コマは、ちょっとだけ液量を減らしてみた。なんとなく。

[初稿・2006.06.05]

命名なんて大嫌い

このコラムのタイトルは、「ぼくが知りたいQ&A」というタイトルだ。

しかしながら、実際にそのタイトルに添った内容はこれまでの12回の連載の内、3回程しかなかった気がする。”気がする”とか言ってる時点で如何にタイトルを忘れてぼんやり書きなぐっているかが伺い知れるだろうと思う。

何を隠そう(隠しちゃいないが)、名前を付けるのが苦手だ。

このコラムの右下にある作品タイトルやペンネームを見て頂ければ一目瞭然だと思う。なんだこれは。ふざけているのか。と思われるかもしれない。散々悩んだ結果であり、他人に丸投げして提示されたものをチョイスした結果であり、天啓を受け瞬時にひらめいた賜物であり、つまりは命名の才能も選択するセンスも無し、私に憑いている命名の神はなんか寝そべって畳の目の数でも数えながらテキトウに啓示を呟いているようである。

いっつも何かしらの名前を付ける時には悩んでしまう。

例えば、何らかのキャラクターの名前などを決める時は、大抵誰かに丸投げしてしまう。

基本的に、人名に対するこだわりは皆無と言ってもいい。

寄生獣のミギーとは絶対話が合うはずだ。

どうしても自分で名付けねばならない時は電話帳などを使う。

バラバラーっとめくって、指を差し込み、そのページから再び目を瞑って指を差して名前を選んだり。

無難な名前くらいテキトウに付けりゃいいのだけど、「ユミ」がいいか「ユカ」がいいか…「由佳」か「由香」か…そんなことで1時間ほど余裕で考え込んでしまう燃費の悪い脳を搭載しているので、有る程度の決め打ち材料が必要だ。

キャラクターならまだいい。自分の子供を名付ける際は壮絶を極めた。 何ヶ月考えたかしれない。

何しろ、その名を一生背負って生きていかねばならない。昨今の親御さんは思い入れが強過ぎてどこの国の人間か分からぬ名前を好んで付ける傾向にあるが、何故こんなふざけた名前を付けたのか…とマウントポジションからバタフライナイフを胸元に突きつけられたりする状況は是が非でも避けたいところ。無難な名前を付けたところで、もうちょっとちゃんと考えろよとアイスピックを首の後ろから突きつけられるのは目に見えている。適度なオリジナリティが要求されるのだ。

字画なんてどうでもいいといえばどうでもいいのだけど、調べた結果漏れなく「大凶」だったらさすがに生まれて来た意味などを必要以上に考えてしまうと思われるので、その点も充分過ぎるほど考慮した。なんかもう、あまりに考え過ぎて途中で吐きそうになったりもした。でも子供の為だ…俺は死んでも名付けてみせる…!!と仕事そっちのけで考えたものだ。

仕事をしろと思う。

現在連載中の、定時制高校を舞台にした漫画のタイトルを付ける時も大変だった。ほぼ丸一日考えても全く糸口すら見つからない。タイトルは考えれば考えるほど硬直していく。みるみる寒くなっていく。

いい加減うんざりしたので、何かアイデア無いですか、と当時の担当編集者(30代後半・♂)に振ってみる。

他の仕事も押しに押しているので、もう丸投げでもいいや…と諦め半分で。

しばらくして、FAXが流れてくる。

——————————–

『一條様 私もいくつか考えてみました。

 

G.N.Baby〔グッド・ナイト・ベイビー〕

N.N.Night〔ナイナイナイト〕

がんばれ定時制!

・(以下悪寒がするので略)』

——————————–

うわああああああダメだ!それは絶対ダメだ!!

早く…今すぐ自分で考えなきゃ大変な事になってしまう!!(赤面&号泣)

必死に考えた末、もうちょっとマシなタイトルが出た。世界は広い。上には上がいる。私は井の中の蛙だったのかもしれない…。

ちなみに決定したタイトルは『4ジゲン』といいます。舞台である定時制高校の一般的授業数「4時限」とギャグの違和感を端的に示す「4次元」を合わせてどっちの意味も含ませるようにカタカナで…まぁこれもどうかと思うけどさ!!(赤面&脂汗)

さて、お気付きの方もいるかと思われますが、冒頭のようにタイトルとは全く関係のない文章がダラダラ続いて既に1725字に達している訳です。

これを機会に、次回より改題すべきだなと思う今日この頃なのです。

それではまた。

G.N.Baby

[初稿・2005.03.21/改稿・2006.07.05]

樹海

髪を7ヶ月切っていない。

時間がない事はなかったが精神的な余裕がなく、何となく躊躇しているうちに7ヶ月。

いかにもこれから樹海に行きます的ヘアスタイルだ。

樹海には行かず、行きつけの美容室に行った。

行きつけというか、他で新たな床屋を開拓するのは面倒なので、一度思い切って入店した所へかれこれ5~6年通っている。

その間、髪を切ってもらっていた一人の美容師。

パッと見は、ヘラヘラ〜っとしたいい加減そうな兄ちゃんで、どこにでもいる今どきの20代後半。

が、最初からバッチリ希望通りの頭にしてくれたので、腕は確かなのだろうと思う。

「今日はどうなさいますか?」

「前と同じで…」

なんせ7ヶ月ぶりだ。

憶えていませんと言われても文句は言えないが、ちゃんと憶えていた。

ヘラヘラしていてもさすがプロだ。

1ヶ月…いや、最低3ヶ月に一度は来て下さい!と毎回言われつつ、数ヶ月後に樹海スタイルで赴くといつも苦笑いをされた。

ところで、美容師さんってそれがサービスの一環と思ってるんでしょうがやたら質問を投げ掛けてきますよね。

それに対しまるで友達のようにフランクに、ため口で答えるお客さんもよくいますよね。

どうなっているのでしょう?見かける度に不思議な生き物達だなぁと思う。

例に漏れず、樹海スタイルの私に対しても何らかの話題をやんわりと持ちかけてくるのだが、そう簡単に個人情報を漏らしてたまるかと朗らかに拒絶することにしている。

「一條さん、最近お仕事忙しかったんですか?長いこと来てなかったんで」

「まぁそんな感じですねー」

「一條さん、最近どんな音楽聴いてますか?ボク○○とか△△とか聴いてるんですよー。」

「昔の洋楽とか、最近のとか…まぁ色々ですねー」

「昔のというとどの辺り?」

「70年代辺りとか…最近のも色々」

「ジャンルは?」

「んー…何でも聴きますよ」

「一條さん、自分のこと何も話してくれませんよね」

「あははははははは」

私の職業が漫画関係である事はうっかり口が滑ってバレていたが、何の雑誌に載っているのか、ペンネームは、などと誘導尋問をされつつも、たいしたモノは書いちゃいないので、いつもはぐらかしていた。

しばらくすると気を遣ってくれているのか面倒になったのか、その類いの質問はしてこなくなっていた。

不意に、「そういえば、葉書届きましたか?」と尋ねられる。

「え…すんません…記憶に無いです…お店の案内ですか?」

「実は、来月いっぱいで退社するんですよ…実家の床屋継ぐんで、田舎に帰るんです」

東京で美容師をやっていたのは、元々家業を継ぐ為だったらしい。父親が最近亡くなって、母親が切り盛りしているが、そろそろ自分がやらないと、と。

へらへらしたあんちゃんだと思っていたけど、なんて親孝行な。

堰を切ったように、家庭の事、言っちゃいけない凄いお客の事(そして変な客リストの中に自分がしっかり入っている事…)、色々話を聞く。

これまで意識的に余計な事は話しませんオーラを出していた自分だが、意外性に富んだジャブの連発が効いて、不覚にも普通に喋ってしまう。

なんというか…

当たり前の事だけど、みんな家族があって、大事なものがあって、生き甲斐があって。

その為に努力して、力をつけて、自信をつけて。

地に足がつかずフラフラしているのは自分の方だ。

「実家の床屋継ぐ事になったら、漫画をいっぱい置きたいんですよ。 一條さんの漫画、いつか知ることがあったら絶対置きます。」

いやいや…置いたら色々苦情などがあると思うので……。

「胸を張って置いてもらえるモノが出来たら、送りますから」

はぐらかしたわけじゃなく、ほんと、そうしようと思った。

来月いっぱいかぁ…じゃあ今度こそ1ヶ月以内にもう1回切りに来ますよ。と言うと、

「そんな珍しい事があったら30%オフにしますよ!」

と言われた。

10%でも50%でもなく、30%。

きっと家業は上手くいくだろうなぁと思った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

……という日記を書いたのが、2005年8月17日。

もうすぐ7ヶ月目になるが、結局また樹海がよく似合う髪形に戻ってしまった。

新たに床屋を開拓するか、樹海へ行くか…

その答えはまだ……見つかっていない……

…いや、どうでもいいから早く切れ。うっとうしい。

[初稿・2005.08.17/改稿・2006.03.11]

韓国語版殺し屋さん

なんか、勝手に韓国のマニアに翻訳されているわけですが。

http://overdread.egloos.com/1301818

http://overdread.egloos.com/1307571

http://overdread.egloos.com/1321172

http://overdread.egloos.com/1373040

http://overdread.egloos.com/1420256

http://overdread.egloos.com/1514514

http://overdread.egloos.com/1561124

(URLをコピペして行ってくださいまし)

韻を踏んでるやつとか、ちゃんと通じるように訳しているらしい(意訳もあるのかしら…ハングルはさっぱり読めないので分かりませんが)。

寄せられてるコメントをここで訳して読んでみると、それなりにウケたり呆れられたりしているらしい。

凄い!!通じるんだ!!

著作権のことを考えるとちょっとアレなのですが…ちょっと嬉しかったのでこっそりご紹介。

でも全部連載されるとちょっと困っちゃうかもしれないのでいっそ出版してくれれば良いなぁと思います>韓国の出版社さん

そういえば以前、台湾版とスペイン版の出版が決定したのですが、その後しばらく連絡が無い所を見ると、面倒で頓挫した可能性が……スペインは難しいだろうなぁ……「シシドレミ」とか…「加藤鷹」とか…

防犯の皮

先日、東京は武蔵野市、吉祥寺へ足を運んだ。引き篭もりのくせに。

ふと足下を見ると路上喫煙禁止のマークがそこかしこにある。

23区内各地での路上喫煙禁止は認識していたが、まさかここまで勢力を伸ばしていたとは…。

ここ数年で急速に禁煙区域は拡大しているように感じる。何故こうも急に…手の平を返したように……。

その社会の豹変ぶりに少なからず疑問を抱いていたが、ふと思い出した。

私には思い当たる節がある。

中学2年生の頃。

『防犯ポスターコンクール』というものがあった。

万引きはダメだよ・シンナーは程々に・夜道はエロい事されるよ・などなど、悪の道へのきっかけとなりうるありとあらゆる事柄を撲滅する事を目的に、ポスターを描けと命じられるのだ。

県警などが主催する、青少年への啓蒙的な催しだったと記憶している。

私は未成年の喫煙を題材にポスターを描いた。

灰皿に置いたタバコから揺らめく煙を悪魔に見立て、喫煙者の身体を蝕もうと企んでいるかのように妖しく微笑んでいる。

そんな悪魔の企てなど知る由もなく興味本位でタバコに手を伸ばす、若者の手。

バックでは、無数のジグソーパズルが崩れ始め、その隙間からメッセージが覗く。

『打ち砕け!悪魔の囁き!!』

えーと…ちょっと着の身着のまま旅に出ても宜しいでしょうか……。

その頃の私は、美術と体育と給食だけは大好きな脳味噌ツルツルの人間だった。深く考えずただ闇雲に、真剣にポスター製作に打ち込んだ。

何度も何度も下絵を吟味し。

効果的で且つ緻密な配色を何度もテストし。

丁寧に慎重にポスターカラーで輪郭を取り。

ムラが一切出ないように均等に塗りつぶし。

おもむろにタバコに火をつけ、深く息を吸い込み。

………釈明すると、中学1年になり始めの頃から吸い始めたタバコは既に私の中枢を支配しておりまして、数時間空けば禁断症状が出るほどのヘビースモーカーだったのです。

何の釈明にもなってない。

いわば経験に基づくリアルなメッセージ、悪魔の囁きに屈した地獄からの雄叫び、ソープ嬢に説教するオッサン、そんな感じだ。

提出したそのポスターは、学校から防犯ポスターコンクール事務局へ渡り、県警へ渡り、優秀作品として賞状を計2枚授与される結果となった。

県内の全中学校の中から数名だけの受賞者に対し警察関連施設に於いて授与式があり、授業途中で抜け出す形で出席するよう命じられた。防犯の申し子、犯罪撲滅を声高に主張する青少年の代表として、義務教育よりも優先されるべきと判断された表彰を受けるわけだ。

知らせを聞いた瞬間、顔が蒼白になった。

バレたら補導されて新聞沙汰になって引っ越しを余儀なくされて貧乏になって一生後ろ指を差されて生きていくんだ!!

ああ…どうしよう…ソワソワ…おもむろにタバコに火をつける。

つけるなバカァァァ!!

授与式当日。

その日一日だけ禁煙をした。

あれから数年、禁煙区域は爆発的に拡大している。

あの時の不正に気付いた警察や禁煙推進組織が威信を懸けて、私を追いつめる為に近年の禁煙ブームを加速させているのだろうなぁと推測される。

防犯の皮を被った悪魔の下僕を盛大に表彰してしまったのだ。

狙いは私だ。私を精神的に抹殺しようとしているのだ。

殺れるものなら殺ってみろやー!!

と、タバコをバカバカ吸いながら死んだ魚のような目でキーボードを打ち付ける今日この頃。

なんだか違う種類の悪魔が私の頭に囁いているようです。

[初稿・2006.02.04]

1000ml

つい数週間前の話し。

朝、7時過ぎだろうか。

家族全員の軽い朝飯として、たまにパン類と牛乳、100%果汁ジュースなどの買い出しに出かける。

そんな時間に空いている店は、当然の事ながらコンビニエンスストア。

レジに、1000mlの紙パックの牛乳、同じく1000mlのリンゴジュース、6つ切り食パン、チョコスティック状の菓子パンを差し出す。

笑顔で「いらっしゃいませ!」と20代後半くらいの快活な女性店員。

朝から非常に元気があってよろしい。

テンポよく商品を手に取りバーコードを読み取り、商品をビニール袋に入れていく。

その時、何やら長いモノをひょいと入れた。

……ん?

特に何も言われなかったので、気のせいか…と意識の中で軽く流す。

「ありがとうございましたー!」

朝から非常に元気があってよろしい。気持ちの良い挨拶は、澱んだ気分をすっきり吹き飛ばしてくれる。

帰宅して中身を確認してみると、ストローが一本入っていた。

1000mlの紙パック製品に、ストロー。条件反射的に、間違って入れてしまったのかしら?

が、よく見ると通常のものよりも長い。妙に長い。こんな長いの、初めて見たぞ…。

試しに牛乳パックの口を開け、ストロ−を挿入。

おお…ピッタリではないか…。

という事は先程の快活な20台後半女性店員は、私が一人で、この1000ml飲料×2を飲み干すと勝手に脳内でジャッジを下したという事か。

1リットルをチューチューチューチュー、プリティだかワイルドだかよく分からん飲み方をする人間、という解釈をしたのか。

なにその解釈。失敬な奴め!!

それからまた数週間後、どうにも疑念が晴れない私は、実験を試みた。

前回とほぼ同じ、朝の7時過ぎに、再び同じ買い物をしてみるのだ。

残念ながら店員は違う人間。

前回と同一条件下で、おもむろにストローを突っ込もうとしたその時は、

「…何を入れている、貴様ぁぁ!!」

と毅然とした態度で断固、戦おうと思っていた。

しかしながら、人が違えば対応も違う可能性が高い。

とりあえず物は試し、前回と同じく1000mlの牛乳とリンゴジュース、食パン、菓子パンをそれぞれレジに差し出す。

店員「ストローはお使いになりますか?」

しまった…ストレートに問い掛けてきやがった…。予想外の展開に、思わずポカーンとしてしまう。アホ面丸出しだったと思う。よだれが出ていたかもしれない。

いや、落ち着こう…そもそも1000mlにストローを薦める時点でおかしいじゃないか。毅然とした態度で抗議するべきだ。

筆者……えーとなんでですか??」

うわぁ…弱腰。

店員「え!?あいえはい。」

何事も無かったかのようにレジ操作を再開する店員。

無かった事にするつもりか。何なんだ一体。俺のよだれを返してくれ。

ますますモヤモヤが募りつつも、外に出る。

ふとみると、やたら工事関係のトラックが停まっている。

……あ……と気付く。

体力を使うお仕事の人は、昼休みに、または夜勤明けでグイッと、一リットル牛乳などを一人で飲む事もあるかもしれない…。

ガタイが良くて無精ヒゲで何となくどこかで何らかの作業をしてきたような服を着ていたので、そのような職業だと思われたのかも……そう考えると合点がいく。

別にいいんですけど。最初の店員の決めつけはなんなのか。

問答無用で職業を何となく選定される気持ちが解るか。

よし。これからはスーツやタキシードなどを着こなして行ってやる。

[初稿・2006.02.02]

そんなキャラじゃない

人はいくつもの顔を持つ。

筆者は漫画業界で細々と暗躍しているダメ人間だが、何を隠そう(隠しちゃいないが)、二児の父親だったりする訳です。

毎年毎月、毎週毎日、多数の方々に経済状態を心配されながらも細々と暮らしている今日この頃です。

心配するなら炭水化物や動物性蛋白質などをくれ。

さて、私のDNAを受け継ぐ二匹の哺乳類は日中保育園に預かってもらっていて、一年に一度、保護者懇談会というものがある。

私は極端にシャイな社会不適合者なので、そういう会合は妻に任せっきりだった。

が、たまには社会と接点を持たなくては…と、初めて参加してみる。

教室内にズラッと円形に椅子を並べ、ズラッと保護者が座り。

先生が連絡事項や園内での生活などをズラズラ述べつつ、保護者一人一人順番に、相談や気になっている事を喋り、皆で知恵や経験を出し合って話し合う、といった段取り。

4〜5歳児ともなると次第に悩み事も少なくなり、どちらかと言えばこれから小学生に向けての心構えというかステップアップというか、何となく漠然とした不安事が殆どだ。 いや、ほんとに困ってる事ってなかなか言えなかったり言っても仕方がないので言わなかったりするかもしれない。

我が息子に関しては、「根性がなくて困ってます…(父親に似て)。困難な局面ですぐに諦めてしまうのです…(父親のように)」と告白。

いや、息子さんは得意な事に関しては凄い集中力ですよー、ブロック作りとか…と先生に励まされる。

凄い集中力でブロックを作り続ける子。

友達居なさそうだなぁ…(父親に似て)。

子供が自分の爪を噛んで困る、という保護者さんがいた。

お、自分と同じじゃないか。何を隠そう(隠しておいたほうがいい気もするが)、小学校高学年まで爪を食していた人間だ。暇さえあればコリコリコリコリ食していた。あと爪の横の皮。食べちゃうよね。自分が生きてる限り何度食べても再生するので環境にも優しいよね。最も身近な自家栽培。自分で自分を食べる行為って堪らないよね。

ところで、ここを読んでいる人がどんなにドン引きしようが僕は構わない。

それはともかく。自分の場合は、中学に上がり、自意識がほとばしるほど過剰になっていく過程で、とにかく「恥ずかしい」と感じるようになり、自ら断食した。習慣というのは恐ろしいもので、味も素っ気もない爪や皮でも、常食していた人間からすると中毒とも思えるほどの存在となる。ふと手を見れば据膳。グッとこらえる。でもちょっと噛むぐらいなら…いやいや…でも……。

教室で自分の手をジッと見つめ、何やら真剣に考えている中学一年生がいたら、断食中or手淫は一日何回に留めるべきかで悩んでいるかのどちらかだ。断言する。

その保護者さんの相談の行方を興味津々に見ていたが、誰も解決策を提示する気配が無い。

というわけで、自分の経験上人に言われてやめる事は絶対ないから、ここは具体的にお子さんに説明してみては、と提案。

一番の問題は、爪の間に入り込んでいるバイ菌や寄生虫の卵なので、まずその恐ろしさを教えましょう、と。

口だけで説明しても、4~5歳児は想像力がまだ追いつかないと思われるので、目黒にある寄生虫館に連れて行きましょう、と。

実際数年前に行った事がありますが、サナダムシのTシャツなどがあって、とてもフレンドリーな施設でしたよ。と。

私は2度と行きませんが。

そんなこんなで、気がつくといつの間にか保護者の中で一番喋ってしまう。

後日、保育園の送り迎えに行った妻が、「懇談会で旦那さん凄く喋ってた、的確で感心した」と他のママさんや先生方に何度も言われたらしく、夫はそんなキャラじゃないのに何事かと困惑。

シャイな社会不適合者のくせに何を喋ってきやがった、と問われる。

あえて「いや…別に…」と濁しておく事にする。

人はいくつもの顔を持つ。

家と保育園で二つの顔を持つ男。

……別にカッコよくない。

[初稿・2005.12.05]