俺の進化

何万年、何億年の時を経て生物は進化を続け、人間はここまで辿り着いた。

文字で書けばたった34文字だが、その過程を遡れば途方もないものだ。

魚が陸に上がって生活する…それだけでどれほど身体が変化しなければならないのか。いきなりニョキッと足が生えた訳じゃあるまい。日々刻々と、ほんの僅かずつ、本人も気付かないほどの変化を積み重ねて、我々は進化しているはずである。

いきなり何の話しだ。宗教でも始めたのかと思われるかもしれないが、そうではない。

ここだけの話だが、私は目に見えて進化しているようなのだ。

自己啓発セミナー等に通っていらっしゃるのか。そう思われるかもしれないがそうではない。待て。行かないで。聞いてください。

どうにも腑に落ちない身体の変化があるのです。

もう、十年近くにわたって、私を断続的に悩ませ続ける人体のミステリー。

右手の人差し指と中指の、第1・第2関節の外側、それぞれ計4箇所が、定期的に強化されている。

端的に言うと、脱皮して、その度に皮が強くなっているのだ。

言葉では非常に説明しづらいので、図にしてみた。(図1)

図にしても解りにくいですか。そうですか。

1〜2ヶ月に1度、痛みや痒みなどは全く無く、ふと気付くと皮が浮きあがり白くなっている。

 

「あーまた俺は強くなるのか

やるせない増強感に溜め息をつき、虚ろな目をしつつ皮をグリグリと剥ぎ取ってしまう。

中から出てくるのは、ツルッとした強靱な皮膚。

何故だ。何だ君は。ツルンとしやがってさ。

前記のように、痛みも痒みも無いので、病院に行くほどでもない。

何かのついでにお医者さんに訊いてみるぞ!と意気込みつつも、そうそう皮膚科に行く用事もなく、日々が過ぎていった。

Webで虱潰しに検索してみるも、該当する症状は見当たらず。

第一候補と目されていたカビや水虫などの菌関係は、痒みや水泡や角化、転移等を伴うようで、いずれも該当しない。

妻に、これはどういう事だろう…と相談してみた所、

「おかしいんじゃない!?」

とピッチャー返しのように疑問をはね返された。

うん、ほんと…ご免なさい…おかしくて……。

以上をもって、今のところ自分を納得させるにはこの結論しかない訳です。

日々刻々と、ほんの僅かずつ、私(の右手の人差し指と中指の、第一・第二関節の外側計4箇所)は進化している、と。

このまま進化し続けたら、私はどうなってしまうのか。

図にしてみた。(図2)

わ〜、パスタなど持ちやすそ〜♪

…どなたか止める方法がありましたらご連絡下さい。

[初稿・2005.11.03]

世界ひとり歩き

某日、某所から電話。

相変わらず、何やら恐る恐るといった雰囲気だ。

「……あのーですね……『殺し屋さん』ですけど……

また海外からオファーがありまして……」

……。

さては君たち、寄ってたかってからかっているな?

無縁の地

普通の作品なら、日常茶飯事の出来事で特に目新しい事でも何でもないのだけど。

自分には全く無縁のものだなぁと思っていた。

日本の極一部でしか通用しないものだと。

でもそういうもんだ、そこが自分のイイとこでもあるんだし。

と。

某日、某所から電話。

何やら恐る恐るといった雰囲気だ。

子供の言葉

子育ては、叱るより褒める事が大切だとよく聞く。

尤もだと思う反面、ここだけはダメだという線引きも大事だと思う訳です。

例えば命に関わる事、他人に危害を与える事、周りに迷惑を与える事…

その辺は人として最低限の部分として、一番判断に困るのが礼儀、とりわけ言葉遣いだ。

近ごろ、長男(5歳)の言葉遣いが悪い。時折、教えるはずも無い、耳を疑うような単語が飛び出し、絶句する事がある。

例えば、長男が集中しながらブロックを組み立てつつ、ボソボソ呟いている言葉に耳を澄ますとこんな言葉が聞こえてくる。

 

クソ野郎

 

…えぇぇぇ…!?

少なくとも私は、心の中で何度も何度も何度も思った事はあるにしろ、そんな言葉を子供の前で発した事は無い。誰だ、そんな言葉を吹き込んだヤツは!!

いや、それ以前に何故ブロックをそんなにも侮辱する必要があるのさ。

まだブツブツ呟いている幼児。

 

ぶっころす

 

嗚呼…5歳児がなんて言葉を……このまま育ったら確実にリーゼントじゃないか…(なんとなくイメージ的に)。

様々な調査の結果、通っている保育園から覚えてきていると判明。

他のお子さんの影響をもろに受けているようで、みんなが喋っている言葉、イコールカッコいい言葉、と感じている節がある。確かに自分の子供時代を鑑みればその気持ちはよく分かる。分かるが、ぶっ殺すなどと呟く幼児はダメだ。怖いから。

これはいかん、外部からの影響より家庭内の影響力を強めねば!!と絵本の読み聞かせ率を強化。最近では平仮名の読み書きにも興味を示し、言葉を理解する喜び、表現出来る楽しみを感じてきたようだ。

勉強なんか出来なくても構わないと思っているが、対象が何であれ学ぶ意義のようなものを見いだす事は非常に有意義な事であると思う。

そんなある日、妻と長男が何やら揉めている。

激しく憤慨している長男。

何事かと尋ねると、長男が目の前に駆け寄ってきて、まるで凄んでいるかのように睨み、幼児なりにドスを利かせた声で言った。

 

「勉強するヤツ買ってこいよ!!!」

 

…えーと…。

要約すると、平仮名の書き取りをする幼児用のドリルが欲しいらしいが、こういう場合は、勤勉な心が芽生えた事を褒めるべきか、親に向かって何だその言葉遣いは!と叱りつけるべきか…。

そんなことを考える間も無く、何だか色んな方向のミスマッチで妙に可笑しく大笑いしてしまった。

今後も

「お前らの身体をファックする恐れのあるあらゆる病をぶっ殺す為に医学部目指すぜクソ親父!」

「貴様らボケ老人の事を考えて二世帯住宅を俺にぶっ建てさせろよ!超バリアフリーの家で俺様に看取られ安らかに死ね!!」

等と言ってくれないかなぁとテキトウな事を考えているバカ親でご免なさい。

[初稿・2005.08.26]

ソントン

幼い頃、食事に対する躾けは厳しかった。

出されたものは美味かろうが不味かろうが米粒一つ残すべからず。出されないものは欲しがるべからず。粗食が一番。

そんな家庭で育った僕は、パンに『ソントンのピーナッツクリーム』を付けて食べるのが大好きだった。

紙の容器に紙の蓋、蓋を開けると銀紙状のもので密封されていて、開ける時いつもビヤッと中途半端に破けて人生全てが虚しく感じられたりする、あのパッケージの。そんなのは僕だけですか。そうですか。

ただし、子供の健康や躾け的な事を考えてか、食パンに厚塗りをすると母親に懇々と叱られた。

とにかく薄く。とことん薄く。親の顔を窺いながら、最小公倍数的な塗り作業…欲求不満極まりない。

子供心に、お金持ちになってソントンをいくら食べても文句の言われない男になろうと誓った。オツムの弱い子供だった。

それから十数年後。

一人暮らしを始めた。

思う存分、食パンがドシッと重みを持つほど塗りたくってやるぜ…俺はやるんだぜ…。

それが幼い頃からの夢であり、野望であり、復讐だった。

文字通り、甘さに身を委ねた蜜月の日々である。

それから毎朝ほぼ欠かすことなく、現在に至るまで厚塗りソントンパンを食している。時にはクリームだけを食べてしまう時も。反動とは恐ろしいものだ。

恐らく日本で、否、世界で一番ソントンピーナッツクリームを摂取している生き物はこの僕だ!!満天の星空に向かってよく叫んでいたものだ。

最低でも3日で1カップ摂取。年間に換算すると、およそ121個。

5年以上はその生活を続けているので、単純計算で605個は食べている計算となる。

親に叱られる事はなくなったが、妻に心配されるようになった。心配というより、正直、気味悪がられている。あなたが理解出来ない…ハッキリとそう言われた。

容器の側面に記載されたお客様相談室に相談してみた。

筆者「3日に1カップ、ピーナッツクリームを食べ尽くす生活をこれからも続けて良いものでしょうか」

お客様相談室「それでは、担当の者にご質問内容を伝えて、そちらにご連絡させますので、お名前とご連絡先を…」

何故こんなことで赤裸々に個人情報をばらまいているのだ僕は…と思いつつ正直に伝え、待つ事数時間。妙に庶民的で親しみ深いボイスのおばさんからコール。担当者らしい。

「健康な方なら特に問題はないです。」

「食事制限などをしている人は、お医者さんに相談してみてください」

「カロリーだけ気をつけて頂ければ、ピーナッツは脳の活性化にも良いですし」

「ただ、今の時代、パソコンなどで目を酷使する事が多いので、時折ブルーベリージャムを合間に挟んで食べるのはいかがでしょう」

「ブルーベリーは目にイイですから」

「ヨーグルトに混ぜて食べると、整腸効果もありますし」

「紅茶に混ぜて飲むのもいいかもしれませんね。ブルーベリージャム」

いつの間にか、ブルーベリージャムを如何に美味しく食べるか、陽気なおばちゃんと和気あいあいと喋っていた。いかんいかん。

結論としては、問題無し!とのこと。

お墨付きを頂いた事で僕のソントン狂は確固たるものとなってしまった。

そして相変わらず妻に気持ち悪がられている。

ソントンと私とどっちを取るのか、と迫られたら…。答えを出せる自信は正直言ってない。

僕の躾けは失敗です。母さん。

[初稿・2005.08.02]

タマちく.作/殺し屋さん 第1集 発売

明日(7月28日)発売です。

昨日初めて製本されたものを頂きました。ほんとギリギリだったのだなぁ……。

装幀などの完成形がなかなか手元に届かなかったもので掲載が遅れましたが(主に原作者の進行がボトルネック)、以下のようなモノが書店に並びます。

…並ぶのか!?主に棚差しじゃないのか!?

単行本のカバー

 

 

以下、カバーなどのデザインについて、マニアの方には興味深い話し。

ふれあえ!!下水道館

前日の猛烈な頭痛も完全に消えて、思う存分家族と出かけることに。

行き先は、近所にある『ふれあい下水道館』。

何でよりにもよって下水道!ふれあったら大変じゃないか!

ふれあい下水道館

動物園

動物園って凄い。

だって、動物がたくさんいるんだもの。

そして動物の数だけウンコも…。

某T動物公園に行ったときの出来事。

その日は、昨今の異常気象を代表するかの如く尋常じゃない暑さ。

家族とともに、全員汗だくになり、なんかもう哺乳類なんてどうでもいい状態で象を眺めていた。

「あぁ…大きいなぁ…象のウンコ…」

そんなかぐわしい感想しか思いつかないほど暑さにやられた脳細胞をリフレッシュさせるため、近くにあった自動販売機でジュースを購入することにした。

自販機は2台並び、片方は缶ジュース、もう片方は紙コップ式。

紙コップのジュースといえば当然細かい氷入りと予想され、とにかく冷たい何か、を求めていた私は、迷わず紙コップ式の自販機に小銭を投入。

三分の一が氷と思われるその液体をガムシャラに口に含むと、何やら私のオーバーヒートした脳が瞬時に覚醒し、警報を鳴らす。

ははは…まさか…誤作動誤作動…。

素知らぬ振りでやり過ごそうと思ったが、飲めば飲むほど脳のサイレンが鳴り響く。

象臭い。

 

正確には、『象のウンコ臭い』。

 

うわーい!象のウンコ臭いよ!!

 

現場が近いのでその匂いが漂っているだけだと思いたかったのだが、象と距離を置く、缶ジュースと飲み比べ、などの実験を重ねた結果、象のウンコ臭が風に運ばれ紙コップに染みついたのでは…という結論に。なるほど…。なるほどじゃないよ!!そのぐらい計算出来ないものか動物園なんだからさぁ!!(涙)

飲みたくて飲みたくてしょうがなかったものがやっと手に入り、潤いと甘味と爽快感を今ここに味わえると口に含んだその味が象のウンコ味。 象のウンコエッセンス配合。

お口と鼻腔に広がる象のウンコの微粒子。

最悪だ。心から不愉快だ。

微妙な、ほんのかすかな匂いというのもまた不愉快だ。

何度もテイスティングをした揚げ句、「黒」と判明したときの虚脱感…。

いっそ、ウンコを盛ってくれないか。紙コップに。

動物を見れば見境なく手を振ってしまう私といえども、動物の排泄物を好んで食するほど動物愛に溺れているわけではない。

そして、私と同じ思いをしている人が少なからずいるやもしれない。

使命感をメラメラと滾らせ、緊張から手の平に汗を滲ませつつ、後日、思いきって電話で抗議をしてみた。クレーマー上等。

 

筆者:「アフリカゾウのいるあたりの自動販売機、紙コップに糞の匂いが染みついてることがあるのですが、あれ、どうにかなりませんか」

T動物公園:「他のお客様からはこれまで一度もそういう報告は受けていないのですが、その旨自動販売機の管轄の部署に伝えておきます。是非また遊びに来てくださいね♡」

 

いともあっさりいなされた。

さすが動物の扱いは手慣れたものだなぁと思った。

動物園って凄い。

 

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(画像の家族はウチの家族じゃないです。ペットボトルを買ってました。ちっ。)

[初稿・2004.10.20/改稿・2005.06.28]